天王寺動物園には2頭のフタコブラクダがいます。オスをジャック、メスをコニーといいます。
 2頭ともまだ若く、繁殖が期待されているのですが、数年前より、オスのジャックがだんだん痩せてきて糞の大きさが小さく、また量も少なくなってきました。
 ラクダはもともと牛などと同じで、反芻をする動物です。反芻とは、一度食べた餌をまた口に戻して噛み直すことであり、反芻動物の胃は複数に分かれていて、胃の中の微生物の力を借りて堅い繊維質を分解しています。また、複数の胃の最初に餌が入るところを第一胃といいますが、この第一胃がいっぱいにならないと反芻が出来ず、消化不良を起こします。
 ジャックの場合も、食欲不振で第一胃がいっぱいにならず、反芻を十分できず、体調をくずしていました。その原因として考えられるのは、メスのコニーによるストレスです。実際、ジャックはとても呑気でおっとりした性格なのですが、コニーはやんちゃできつい性格をしています。
 以前は2頭を一緒にしていましたが、餌を与えるとジャックはゆっくり食べるのに対して、コニーは大慌てで食べるので大半をコニーに食べられてしまいます。おまけに咬みつかれるのはもとより、体当たりされたりでコニーにやりたいほうだいです。
 そういうのがストレスになってジャックの食欲がなくなったのでは、ということでジャックとコニーを分けて飼育することにしました。するとしばらくして、ジャックの食欲が少しずつ出てきてだんだん糞も大きくなり量も正常になってきました。
 最近では2頭とも届くところに餌を置いても、競争して食べるほどです。
 この調子でいけば、いずれまた2頭を一緒にして、2頭の子供も期待できるのでは、と思います。

(飼育課:油家謙二)