8月号のアジアゾウ・春子の記事に続き、今回はラニー博子をクローズアップしてみました。
彼女の歴史や特徴などを見ていただき、改めて動物園のラニー博子に会いに来てもらえると、
一味違う観察を楽しんでもらえるのではないでしょうか。

(写真:西村 慶太)


 

1970年5月3日、生後7か月でインドより来日したラニー博子。彼女は野生下で母親とはぐれたところを保護されて天王寺動物園へやってきたのです。
人の手によって育てられたラニー博子もゾウ舎へ移り、先輩ゾウの春子(中央)と百合子(右、2000年5月19日死亡)との同居生活を開始。2頭の先輩ゾウよりはるかに若いラニー博子は世代の違いからコミュニケーションなどでかなり苦労することが多かったようです。彼女は30数年の歳月をこの旧ゾウ舎にてすごしました。
2004年4月、新しく建設された新ゾウ舎に引越ししたラニー博子。故郷のアジアの熱帯雨林を再現した新ゾウ舎ですが、古いゾウ舎にて30数年間暮らしてきたラニー博子にとって新しいゾウ舎は不安だらけ。新しい環境に馴染むのにもかなりの時間を要しました。
ここでラニー博子の見分けやすいポイントを紹介。まずは背中。横から見て中央の一番高い部分がとんがっているのが特徴です。
そして耳。両耳の上側が前に垂れ下がっています。 ラニー博子は水浴びが大好き。夏場はもちろん、真冬でもプールに入ることがあります。
地面に埋め込み、金属のボルトで固定した倒木を引き抜いたラニー博子。何てパワーでしょう。始めは楽しそうに投げたり持ち上げたりして遊んでいたのですが、そのうちエスカレートして周囲のコンクリート製の擬木を破壊し始めたので回収しました。 飼育係におねだりするラニー博子。この担当飼育係とは何と20年の付き合い。ラニー博子にとっては大切な理解者なのです。