(写真・構成:高橋 雅之)

●鋤鼻器(じょびき)【ヤコブソン器官】
 鋤鼻器は鼻腔(びこう)の下側にある空洞で、その内側にはにお匂いを感じることのできる嗅細胞が多量に存在しています。また鋤鼻器の一方は、鼻腔内に開口しています。

●鋤鼻神経
鋤鼻神経を介して鋤鼻器の嗅細胞が感じた匂いの刺激を嗅神経を経て嗅球に伝えます。

●嗅神経
嗅神経は嗅覚を司る純知覚性神経であり、鼻粘膜嗅部にある嗅細胞からの神経が集まったものです。

●嗅 球
 嗅球は嗅覚系の中枢として機能する脳の重要な領域の一つです。嗅球は脳の先端部分に突出した部分で、人では退化傾向にありますが、イヌでは発達しています。


イヌの臭いを嗅ぐ能力は臭いの元になる物質により異なりますが、ヒトの1億倍に達することもあります。イヌはこの超能力を駆使して狩猟、警察の捜査、麻薬取締り、災害救助などに活躍しています。

天王寺動物園には家畜のイヌはいませんが、同じイヌ科の動物は飼育しています。
オオカミ舎でご覧いただける野生のイヌ科動物を紹介しましょう。
セグロジャッカル
Black-baced Jackal
Canis mesomelas 
(♀緑1997年2月18日入園)
東および南アフリカのサバンナに生息し、小動物、昆虫、ライオンの食べ残し、果実などを食べています。群れは作らず、家族で生活し前年の子供が子育てを手伝うことが知られています。
ヨーロッパオオカミ
Common Wolf
Canis lupus lupus 
(♂嵐2003年4月8日入園)
オオオカミはヨーロッパからアジア、北アメリカまで広く分布していますが、ヨーロッパオオカミはヨーロッパからアジアにかけて生息する亜種です。群れをつくり、小動物から大型の哺乳類までを捕らえて食べています。イヌの祖先の中心になったのがオオカミだと言われています。
コヨテ
Coyote
Canis latlans 
(♀桜1991年9月25日入園)
北アメリカの全域とメキシコを南下してパナマにいたる地域の広く開けた平野や草原で小型の哺乳類からシカなどの大型哺乳類を食べています。オオカミのように群れを作って生活しています