ラテン語で“炎”を意味するフラミンゴ


  現在、天王寺動物園ではチリーフラミンゴ、ベニイロフラミンゴ、コフラミンゴの3種のフラミンゴを飼育しています。産卵期にはくちばしで泥をかき集めて、高さ30cm程度の巣を作ります。卵は1個だけ産み、雌雄交代で抱卵します。ヒナは親鳥の喉にある 嗉嚢(そのう)から分泌されるフラミンゴミルクと呼ばれる液体を口移しで与えられ育ちます。フラミンゴミルクはフラミンゴの赤い羽根の元になる色素を含んでいるので鮮やかな赤色をしています。雄も雌もフラミンゴミルクを与えることができ、ヒナのフラミンゴミルクをねだる鳴き声は親鳥以外のフラミンゴも刺激し、ホルモンの分泌が促され、フラミンゴミルクを分泌するようになり、仮親としてヒナにミルクを与えることもあります。

 昨年は10月から12月にかけて孵化(ふか)した5羽のヒナが成長しました。例年は4月から7月に産卵することが多いのですが、隣接地でシギ舎の建設工事が4月から6月にかけて行われたのが影響したのか産卵期が遅れ7月になってから産卵が始まりました。寒さの厳しくなる季節に向かう時期の孵化(ふか)だったので、うまく育つか心配しましたが、元気に成長しました。
 ヒナは孵化(ふか)後2〜3週間は巣ですごし、その後、巣から出て行動するようになります。フラミンゴの羽色は紅色から淡いピンク色のイメージがありますが、孵化(ふか)したばかりのヒナは灰色をしています。羽の色は食べ物に含まれる色素によるものなので、成鳥の色になるのには2年ぐらいかかります。野生では微小な藍藻、珪藻、無脊椎動物などを主食としています。当園ではフラミンゴ用に調整された人工飼料とオキアミを与えています。中央で「への字」状に曲がったくちばしの縁には「ラメラ」と呼ばれるヒゲ状の組織があり、これで、水中のエサを濾し取って食べます。
今年はチリーフラミンゴ以外のヒナも見てみたいと思っています。

(飼育課:本田 創造)