今年3月をもって定年退職となり、自身が37年間撮り貯めた動物写真の写真集
“どうぶつたちとともに” を出版した大川光雄さんにお話をうかがいました。

<大川さん、写真集と一緒に>
写真集は園内売店や書店などで
購入できます。


簡単なプロフィールを教えて下さい
幼い頃から飼育員になるのが夢で、1969年に公園の樹木管理の部門から念願の動物園の飼育員になり、動物達と37年やってきました。
   
退職に当たっての思いは?
キーウィの繁殖が成功しなかったことが残念で心残りです。
   
うれしかったこと、辛かったことは?
珍しい動物が繁殖した時がやっぱりうれしかったです。ニジキジ、ダルマインコ、ショウガラゴ、ヨザルなどなど、ニジキジとダルマインコは(社)日本動物園水族館協会の繁殖賞をもらいました。辛いのは動物が死んだ時です。特にキーウィは、エサとなるミミズを淀川やいろんなところに採りに行ったり、自分達で養殖するために古いシイタケのホダ木をもらって来たり、腐葉土を作ったりと、様々な工夫や苦労があったので死んだ時は特に辛かった・・・。
   
最も印象に残っていることは?
やはりキーウィです。元々鳥が好きで、様々な工夫などやりがいもとてもありました。シダ類があまり良くないと聞いて展示場にシダを入れないようにしたりしました。他にはキジ類で、野生に近い状態にするということで、ミネラル補給のために腐葉土を入れたりもしました。
   
写真集を出版して現在の気持ちは?
緊張がほぐれました。この写真集でいろいろな人に動物の親子や様々な表情を見てもらって、心を癒してもらえたら幸いです。
   
写真集の中の写真でお気に入りは?

キーウィが鳴いている写真 : 運が良かったです。
                    いつ鳴いてくれるかわからないので
ドリルのあくび  : 眠くてあくびしているわけではなく、威嚇しているんです。
ニジキジの親子 : 朝から晩まで一日中粘ってやっと撮れた一枚です。
             両親とヒナがうまく一枚に収まっています。
キーウィが鳴いている瞬間
鳴いているところは
滅多に見れない
ニジキジの親子
この一枚に一日中
かかったそうです

   
今後の活動予定は?
写真集第二弾、第三弾を出したいです。鳥だけを集めたものや、余裕があれば海外の動物園で珍しい動物を撮ったものなどもできたらいいなと思います。
   
これからの動物園に望むことは?
上からでなくお客さんの目線の高さで動物が見られる展示、柵のない展示、記念撮影ポイント、園路から動物舎まで動物の足跡がご案内、案内矢印にその動物の写真や置物を付ける、などなど。お客さんにもマナーを守ってもらいたいです。
   
大川さんにとって写真とは?動物とは?

写真とは : 記憶よりも写真に残す方がいい。だから動物に限らず植物や風景もカメラに収めています。写真はずっと続けていくつもりです。
動物とは : 勉強の教材。動物園に来るお客さんはただかわいいとか、珍しいと感じるだけでも良いでしょう。でも、見るだけでなく観察すると動物たちの習性や癖など面白いものがたくさん発見できます。動物園に来たら、さっと見て回るのもいいですが、じっくり観察するのも良いのでは?

動物園で開かれた写真集出版記念の写真展の様子
   
 

(文:佐野 祐介 写真:大川 光雄、佐野 祐介)