
私も先輩と一緒にゾウのそばで仕事をすることが多くなってきました。今までは先輩が前に立って守ってくれていましたが、最近では先輩より前へ出てゾウに近づく練習に入っています。ここで大切になってくるのが自分の立ち位置です。たとえばゾウのそばで坂道や岩、ゾウの掘った穴などに気づかず転んだりするとゾウが驚いて攻撃してくるおそれがあります。日ごろから地面の様子をよく知り、ゾウを見ながら足元にも注意しなくてはいけません。また急にゾウが暴れだしたときに、素早く逃げることも考えなくてはなりません。壁が近いときは、絶対に壁とゾウとの間には入らない。一方寝室内では柵(さく)の間を人が通りぬけられる間隔になっています。柵(さく)の近くでゾウをさわるときは柵(さく)の前には立たず、柵(さく)の間に立つこと。柵(さく)に押し付けられる事故を防ぐためです。
夕方の寝室内で、ラニー博子に給餌する練習も始まりました。博子は過去に年上のゾウに餌を奪われたり、事故を起こした罰としてエサを抜かれた経験があるので、慣れない人にエサに近づかれることをとてもいやがります。まずは近くでエサやりを見る練習です。夕方の屋内展示室では博子の部屋の中で、立ち位置や博子の様子を気にしながら先輩の作業を見ている私の姿がごらんになれます。
(西村 慶太)
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