キリンの顔


  キリンは可愛らしくて、とても人気のある動物です。天王寺動物園では雄はケニヤ、雌はハルミという2頭のキリンを飼育していますが、アフリカサバンナゾーンの一番の人気者です。
 キリンの特徴は長い首と脚ですが、これは地面に生えている草よりも、高い木の葉を食べるために進化してきた結果です。このためシマウマとは餌の取り合いをすることなく、新鮮な木の葉を独占して食べることができます。サバンナゾーン内の木をよく見ると、全て、地上から5から5.5mぐらいの高さまではきれいに切りそろえたように葉がありません。これは全て、ケニヤハルミが食べてしまったためです。
 キリンは平和主義の動物で、サバンナゾーンでシマウマやエランドとトラブルを起こすようなことはめったにありません。ただし、雄が複数いる場合は雌を獲得するため、雄同士で争うことがあります。長い首を振り回して、自分の頭を相手にぶつけます。これをネッキングといいますが、その威力はかなりのもので、ぶつけられた相手はもとより、自分自身にもかなり衝撃がくるようです。この衝撃から自分自身を守るためにキリンの雄は成長すると額から頭にかけての骨が厚くなり、特に額の凹凸が盛り上がり、かなり怖い形相になります。
 サバンナテラスには、入園者の皆さんにキリンを近くで見ていただけるように、木の枝を固定する仕掛けがあります。間近に見えるケニヤの顔に小さなお子さんは「怖い」とか「病気なんかなあ・・・」と言ったりしています。確かにケニヤの顔はかなり凸凹しており、一見すると恐ろしく見えますが、キリンの世界では男前なのかもしれません。

木の葉を食べようと首をのばすハルミ
凹凸のあるケニヤの顔
木の葉を食べようと首をのばすハルミ
凹凸のあるケニヤの顔

(油家 謙二)