みなさんは夜行性動物舎にいるキーウィを見たことはありますか?担当の私が言うのもなんですが、見た目は一見地味な鳥で、しかもなかなかの臆病者(おくびょうもの)、隠れていることも多いので、せっかく来たのにちゃんと見ることができなかったよ、という方もいるかもしれません(ゴメンナサイ!)
天王寺動物園ではジュンとプクヌイというペアを飼育しています。2年前に夜行性動物舎の担当になった時、雌はここしばらく産卵もしておらず、もうけっこうな歳なので残念だけど繁殖は無理なのかも…と思っていました。しかし、担当して1年目の冬にプクヌイが産卵。最初に見た時、この体でこの大きさの卵?とびっくりしました。大きな卵を産むと聞いたことはあっても実際に見るとやはり驚きです。雌は鶏より少し大きいくらいの体格で体重は1.9kg、卵の重さは450gもあります。自分の体重の約四分の一もの重さです。体のつくりが違うといえども、自分が体重の四分の一の重さの赤ちゃんを産むなんて考えたら勘弁してよ〜と思ってしまいます。一卵目はとりあえずそのまま親に抱かせていたのですが、残念ながら卵を割ってしまったので、それ以降は少し抱かせた後取り上げて孵卵機(ふらんき)に入れることにしました。実際に人工孵化(ふか)にチャレンジしようと思ったところ、他の鳥とは違う点・不思議な点が多すぎてまた驚きの連続です。体の大きさに比べると卵がとても大きいので、抱いているときに卵が親の体に当たっている部分と地面に当たっている部分の温度差が10度近くある、転卵はあまりしない、など…キーウィの孵化日数は75〜95日と言われているので、どのタイミングで取り上げるかも抱卵の様子を観察しながら、海外の動物園の例を調べているところです。
|
キーウィの卵(右はニワトリの卵) |
|
キーウィのレントゲン写真(体内に卵がある)
写真提供:オトロハンガ動物学協会 |
その後、産卵のペースも順調になってきましたが、残念ながらちゃんと交尾をしているところはまだ確認できていません。首元をつつきあったり、鳴き交わしたりと求愛行動らしいものはしているのですが…もし今後も有精卵が取れないのなら、人工授精はどうだろう?と、そちらも今調査中です。いつかキーウィのひなをかえすことを目標にみんなで頑張っています。
ちなみに、今の時期は午前中に餌(えさ)のミミズを探して動き回っていることが多いです。運がよければ、雄が「キーウィ、キーウィ」と高い声で鳴いているところも聞けるかも? (仁木
美智子) |