平成22年5月17日(月)、18日(火)の両日、上海市動物園から動物交流団の方が来阪され天王寺動物園で動物交流が行われました。
1974年に上海市と大阪市が姉妹都市提携を結んで以来、両市の間でさまざまな文化交流などの事業を行ってきましたが、その中で上海市動物園と当園との間で動物交流事業が行われており、今回で第17回目を迎えることとなりました。
今回の動物交流団のメンバーは、団長である上海市動物園副園長 何 国慶(カ・コクケイ)氏を始めとし、上海市緑と市容管理局副所長 鄧 強(トウ・キョウ)氏、上海動物園課長 蒯 六三(カイ・リュウサン)氏、上海動物園副課長 王 愛善(オウ・アイゼン)氏の4名で、在阪二日間という短い期間で表敬訪問、動物展示施設視察、動物贈呈式、飼育技術交流会などのスケジュールを精力的にこなされていました。
今回は私が動物交流団の随行をさせていただきましたので、2日間の出来事をかいつまんで報告させていただきます。
5月17日午前8時、宿泊先のホテルに前日から大阪入りしていたご一行をお出迎え。飼育担当課長が同行しているとはいえ、初めての外国の方の随行で私はやや緊張気味でした。
「ニーハオ!ニーハオ!」のあいさつもぎこちなく、待たせていたジャンボタクシーに乗り込み、ゆとりとみどり振興局の局長表敬訪問のために一路WTCへ。車内では聞き慣れない中国語が飛び交っていたため、ますます緊張してしまいましたが「大阪の街はゴミがなくてきれいだ」と感心されていたことは記憶に残っています。
表敬訪問の時間までに少し余裕があったため、WTC45階にある大阪港広報サテライトへ立ち寄り、そのときに英会話ができる王さんと会話したことでやっと緊張の糸が少しほぐれました。
局長表敬訪問の際には、上海市動物園の飼育動物、上海市緑と市容局の業務内容、開催中の上海万博などの話のあと、局長室から市内が一望できることもあり、全員がテーブルを離れ、窓側へ移動して「あの建物は何?」「あれは○○です」というようなやり取りが繰り返されていましたが、「大阪の街は緑が少ないでしょう?」という質問には「朝からホテル周辺を歩いてみましたが必要なところには緑があり、それほど少ないとは感じなかった。市の中心街では緑が少なくなるのは仕方がない」とのことでした。
表敬訪問終了後は飼育担当課長とも別れ、ご一行を海遊館視察へお連れしました。
移動の際に利用したニュートラムでは、タイヤ走行と無人運転がされていることに興味を持たれ、地下鉄では駅員が少ないことに驚かれていました。(大阪港駅では改札口に2名の駅員の方がおられましたが、上海ではもっとたくさんの駅員で改札業務をされているとのことでした)
海遊館では館長のご案内でバックヤードツアーを行っていただき、ジンベエザメのエサやりを間近で見られたことや、今年が海遊館開館20周年ということで可愛いスナメリが展示されていたこともあり、ご一行は大変喜ばれておられました。
また、昼食の際には、せっかく大阪に来たのだから大阪の粉もん文化を味わってもらわないと!ということでお好み焼き店にお連れし、お好み焼きと焼きそばを味わっていただきました。
聞けば上海には日本料理店やラーメン店はあるけれども、お好み焼き店はないとのことでしたが、「ハオチー、ハオチー(おいしい、おいしい)」と喜んで完食されていました。(中国の食事マナーでは出された食事は、全部食べずに少しは残しておくそうですが、今回は日本式にのっとり全て食べられました)
翌18日の午前中は園長と飼育担当課長案内のもと、当園の飼育施設の視察をされました。
上海市動物園の広さは当園の約7倍もある広大な動物園ですが、コンパクトながらも当園の生態的展示には非常に興味を持たれ、いろいろと質問をされていたようです。
当園の視察の後は今回の来園の目玉でもある「動物贈呈式」が行われました。
今回上海市動物園からは「ジャガー」(メス)1頭を頂けるとのことで、ジャガーが来園すれば当園ではオスメス2頭のジャガーを飼育展示することになります。(ジャガーの来園予定日については現時点では未定ですが、詳しいことが分かり次第「なきごえ」などでお知らせします)
動物贈呈式には当園の隣にある児童養護施設の「四恩学園」から2~3歳の園児さんに来ていただき、「シェイシェイ」の可愛らしい感謝の言葉とともに花束を贈呈していただきました。
午後からは「飼育技術交流会」が開催され、当園の飼育員ら約10名が参加し、今回譲り受けるジャガーの飼育方法はもちろんのこと、3年前と2年前に上海動物園から贈られたチュウゴクオオカミが2年連続で赤ちゃんを産んだことについての報告や、同じく上海動物園から贈られたヨウスコウワニの飼育に関する質問、上海動物園で飼育されているゾウの飼育方法に関する質問など短い時間でしたが様々な情報が交換され、非常に有意義な時間を持つことができました。
夕刻からは今回の来園を感謝し、天王寺界隈にある中華料理店で「園長招宴」を開催しました。
たまたまその店の料理人が上海出身であったことから、招宴途中でご一行に挨拶をされるというサプライズもありながら、「カンペー、カンペー(乾杯、乾杯)」の声が何回も上がり、盛大なうちに閉宴となりました。
私はこの4月の人事異動で保健所から当園に配属となり、初めての動物交流団を経験しましたが、冒頭に書きましたように動物交流は今回で17回目となっています。
これまでに上海動物園からはチュウゴクオオカミ、ヨウスコウワニ、アジアゴールデンキャットなど約60頭(羽)の動物を頂き、当園からはカリフォルニアアシカ、シシオザル、ブラッザグエノンなど約140頭(羽)の動物を送り出しており、両園とも環境保全のための教育普及や種の保存に貢献する重要な事業に携わっているという認識のもと、今後とも動物交流を引き続き行うことの必要性を感じました。
(今西 隆和) |