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2011年の干支の動物はウサギです。天王寺動物園では昔からウサギを飼育しています。しかしこれまでは、お客様からウサギが見えにくく、あまり見栄えもよくない金属でできた小屋とも呼べるところで飼育していました。そこで、うさぎ年を迎えるにあたって、ウサギにもお客様にも優しい施設を新設しようという話になりました。
新しい施設を造る際には、場所を決める必要があります。今までの小屋は他の動物から離れたところにあって、周囲がアスファルト舗装のためあまり条件がよくありませんでした。別な場所を探したところ、ヒツジやヤギの隣にあって、夏場にゾウガメが使っている運動場の一角を使わせてもらうことになりました。ウサギがこの場所を使っても、夏になってゾウガメが日光浴するための広さは十分に残っていますので問題ではありません。場所が決まれば、誰がどのように造るかを考えなければいけません。が、残念ながら、経済的な問題で選択の余地はありませんでした。つまり、動物園にある材料を使って、自分たちで造るということです。
これまでのウサギの飼育方法や展示に対するイメージが悪かったこともあり、小屋の中ではなく土の上にいるウサギをお客様に見ていただくことになりました。しかし、人が見ていない早朝や夕方にはカラスが襲うかもしれませんし、イタチやネコによる被害も考えられます。そこで、小屋と運動場を兼ね備えたものを造り、ウサギを開園時に運動場に出して閉園時に小屋に入れることにしました。小屋はこれまで使っていたものではなく、昔バックヤード(お客様に見ていただくことのない裏側のことです)でウサギを飼っていたときに使っていたものを利用することにしました。運動場のフェンスは、昔のキジ舎に使われていたステンレスフェンスの廃材利用です。今サバンナゾーンがある場所に昔キジ舎があったのですが、その撤去工事の際に使えそうな部材を取っておいたものです。ステンレスのフェンスは高級品ですから・・。
天王寺動物園で飼育しているのは、カイウサギです。皆さんがペットショップで見かけるウサギと同じ種類で、野山にいるノウサギとは別の種類です。このカイウサギ、穴掘りが得意だということはご存知でしたか? 大昔から人間に飼われてきたウサギをカイウサギと呼んでいるのですが、もともとはアナウサギという穴掘り名人のウサギを人間が改良してきたものなのです。地面に巣穴を掘る能力を持っているウサギですから、いくら運動場の周りに高いフェンスを張り巡らせても、地面の下から外に出てしまうかもしれません。そこで、工事はまず運動場の地面の下に金網を埋めることから始めました。地面を10センチほど掘ると金網があって、それ以上掘ることができないようになっています。次に小屋を運んできて設置し、運動場の周りに金属パイプで柵を組み立て、フェンスを柵に固定しました。最後に柵にペンキを塗って、運動場に土を入れてれば完成です。プロが造るものに比べると明らかに差がありますが、飼育担当職員が協力して動物飼育の合間に作ったという割には、まずまずの出来か・・などと自画自賛しています。
完成したのはいいのですが、困ったことが起きています。この新しい施設で6羽のウサギがお正月までに新たにデビューするはずでした。ところが、検査の結果、お腹の中に虫がいることがわかりました。今、まだ5羽が動物病院で暮らしています。毎日虫下しの薬を飲んでもらっていますが、虫もなかなか簡単にお腹から出てくれません。他のウサギにうつしてしまう可能性があるので、虫がいなくなるまでお披露目はお預けです。一日でも早くデビューしてもらうためには、しっかり薬を飲んでもらう必要があるのですが、良薬口に苦しということか、薬を簡単に飲んでくれないウサギが多いのです。昨日はパンにつけて与えたから、今日はリンゴにつけてみよう、などと毎日レシピを考える日々が続いています。
この冬は、いろいろな種類の仕事でウサギに明け暮れています。
(高見 一利)
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