切手に見る、竜の名を持つ動物たち


 日本の干支切手は民芸品を描いた地味なデザインですが写真@、アジアの辰年切手は豪華です。中国では龍は皇帝を示し写真A、タイでは神獣です写真B。しかし、キリスト教国では、蛇との連想から悪魔として描かれました写真C。

 

1964年以降の日本の辰年切手

写真@1964年以降の日本の辰年切手

2000年香港発行の辰年切手

写真A 2000年香港発行の辰年切手

東洋の竜

写真B 東洋の竜(1973年日本発行の高松塚古墳保存募金切手、2000年タイ発行の辰年切手、1994年九州郵政局発行のふるさと切手)

西洋の竜(ポーランド発行)

 
写真C 西洋の竜(ポーランド発行)
 

 

 今は、アジア以外の国でも、十二支をOrientalまたはChinese zodiacと呼び、切手が出ています。写真D zodiacとは黄道十二星座のことで、ギリシャ語のzoion=動物に由来します。zoionからは、英語のzoo「動物園」も生まれました。

動物園にいるdragonは、当園飼育のBearded DragonフトアゴヒゲトカゲPogona vitticeps、Komodo DragonコモドオオトカゲVaranus komodoensis(札幌市立円山動物園で飼育)写真E、インドシナウォータードラゴンPhysignatus cocincinus(上野動物園、静岡市日本平動物園で飼育)写真F、当なきごえ4ページのドラゴンズ・ベビー等があります。Sea Dragonタツノオトシゴも水族館等にいますね。また、漢字にすると竜の付く動物に、石子(トカゲ)や土(モグラ)、針土(ハリモグラ)もあります写真G

2000年オーストラリア領クリスマス島発行の辰年切手

写真D 2000年オーストラリア領クリスマス島発行の辰年切手

コモドオオトカゲ

インドシナウォータードラゴン

写真E コモドオオトカゲ(1965年ベルギー発行のアントワープ動物園切手より)
写真F インドシナウォータードラゴン(1975年ベトナム発行)

ミユビハリモグラZaglossus bruijnii

 

写真G ミユビハリモグラ
Zaglossus bruijnii
(1971年パプアニューギニア発行)

 

コモドオオトカゲと近縁なトカゲに、白亜紀の海生爬虫類モササウルス類Mosasaurs sp.がいます写真H。フタバスズキリュウFutabasaurus suzukiiなどの首長竜類や、モササウルスは恐竜ではありません写真I。両者は、卵を体内で孵して子を産む胎生だったようです。現代の海生爬虫類ウミヘビ類も、胎生種が多く、上陸して産卵する危険とは無縁です写真J。

Flying Dragonトビトカゲ類をご存じですか写真K。肋骨が左右に広がり、肋骨の間の薄い膜で滑空します。ただし、天敵のトビヘビ類も体を平たくして滑空します・・・

モササウルス(1994年マダガスカル発行)

1977年日本発行の国立科学博物館100周年切手よりフタバスズキリュウ復元骨格

写真H モササウルス(1994年マダガスカル発行)

写真I 1977年日本発行の国立科学博物館100周年切手よりフタバスズキリュウ復元骨格

セグロウミヘビPelamis platura

イツスジトビトカゲDraco quinquefasciatus

写真J セグロウミヘビ Pelamis platura
(2001年ニュージーランド発行の己年切手より)

写真K イツスジトビトカゲ
Draco quinquefasciatus
(上2000年マレーシア発行)
ブチトビトカゲDraco maculatus
(下1975年ベトナム発行)。
Dracoもドラゴンの意。

コウモリも龍のモデルです。タイのカオチョンプランでは、300万頭ものオヒキコウモリ類が太い帯状の群れで飛び、黒竜のように見えるそうです写真L。イワシのように、群れで捕食者を惑わす作戦です。津軽海峡を渡るヒヨドリも、ハヤブサから身を守るため、帯状の群れになります。小さな動物も集まれば龍になるんですね。

身近な龍、Dragonfly=トンボを紹介しましょう写真M。飛ぶ穂(トブホ)→トンボという説もある稲作とも関わりの深い虫です。当園でもゾウの池のトンボが子どもたちに人気を得ています。

オヒキコウモリの1種:アンゴラオヒキコウモリ

シマアカネBoninthemis insulari

写真L オヒキコウモリの1種:
アンゴラオヒキコウモリ
Tadarida condylura
(1985年ソマリア発行)

写真M
シマアカネ Boninthemis insularis
(1977年日本発行の自然保護シリーズ)

*斜体は学名。その他の欧文は英名。

(関連記事 なきごえ2009年11月号)

 

(芦田 貴雄)