7月12日、ライオンファミリーの母ネルが亡くなりました。生後6カ月で熊本市動植物園からやって来たのは1993年7月2日のことでした。
ネルは雄ライオンのレオと娘のチーとの3頭のライオンファミリーを引っ張ってきました。ボスライオンのレオを支えるしっかりものの妻、娘チーの面倒はよくみてやる優しい母親でした。レオとチーが親子げんかを始めると、すぐに間に入ってレオをしかり、チーをなだめてケガをする前にけんかを治めてしまいます。ボスライオンのレオを一応、立ててはいましたが、実質のボスはネルでした。レオも娘のチーもネルには逆らうことなく、存在感のあるライオンでした。
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左からレオ、ネル、チー(2010年4月28日撮影) |
寝室に収容する時間になっても、レオは時々、寝室に入りたくないのか放飼場でボーッとしていることが時々ありました。そんな時でもレオのおしりをたくような感じで、レオを追い立て、寝室に帰してくれるので、私たち飼育員は大助かりでした。
寝室では、いつも優しく「ありがとう」という感じで、檻(おり)越しに頭をスリスリさせてくれました。普通、ライオンはネコ科動物の中ではクールな方なのですが、「一緒に檻(おり)に入っても大丈夫かな?」と思うくらいの優しいライオンでした。
ネルがいなくなって、「レオとチーの親子げんかはどうなるか」と心配しましたが、ほとんど親子げんかはしなくなりました。きっとネルが言い聞かせたのだと思います。「仲良く」と。
19年と6カ月、お疲れ様でした。本当に、存在の大きなライオンでした。ネルありがとう。天国でゆっくりしてください。
(町出 猛) |