“鳥の楽園”の食事事情


 天王寺動物園の大型フライングケージ“鳥の楽園”では、約20種200羽以上の鳥たちを飼育しています。今回はそこの鳥たちの食事事情を紹介していきます。

“鳥の楽園”の鳥たちにはそれぞれ好みの餌があります
“鳥の楽園”の鳥たちにはそれぞれ好みの餌があります

 

 “鳥の楽園”で飼育している鳥たちの自然界で食べている餌(えさ)を大きく分ける2種類になります。サギの仲間が食べる、魚。ガンカモの仲間が食べる、植物の葉・実。季節に合ったいろいろな物を食べているのですが、飼育下では、そのすべてを手に入れることは、不可能です。そこで動物園では、購入できるもので代用しています。

まずは、サギの仲間の餌ですが、アジ(15㎝くらい。冷凍品されたものを解凍する)、ドジョウ(生きているもの)、オキアミ(ボイルされたもの)を与えています。アジは、15㎝を超える大きさになると、コサギが食べるには大きすぎてしまい飲み込めないので小さいアジを与えています。生きているドジョウは、一番人気があるので、与える場所を数か所に分けたり、午前、午後の2回に分けたりしています。オキアミは、小さくて数がたくさんあるので多くの鳥が食べることができます。また、ガンカモ類が動物性たんぱく質を摂るために食べています。
左からドジョウ、冷凍アジ、オキアミ
左からドジョウ、冷凍アジ、オキアミ

 

 次にガンカモの仲間の餌ですが、植物の葉の代わりとして、丸ごとの白菜を餌台にある支柱に刺して立てておきます。

餌台に立てた白菜
餌台に立てた白菜
 

 そして、私たちが、練り餌と呼んでいる餌があります。その練り餌の中身は、細かく刻んだ白菜、トウモロコシ・マイロ・エンドウ豆・サフラワー・などの入った鳩・鶏用の配合飼料、水鳥用の固形飼料(ペレット)、小さく刻んだパン、カルシウム剤を混ぜ合わせたものです。

ガンカモ類のための練り餌
ガンカモ類のための練り餌

 

 同じガンカモの仲間でも体の大きさにかなりの差があるので、餌を刻むサイズは、体の小さいカモが、食べることのできる大きさでかなり細かく刻みます。また、ガンカモの仲間は、同じ練り餌でも食べる場所が異なります。サカツラガンは、陸上で餌を食べます。キンクロハジロは、水面に浮かんだり、水に潜って餌を食べます。マガモは、水辺の浅瀬で餌を食べます。そこで、“鳥の楽園”での練り餌の餌やりは、陸上の餌台、池の水面際、バットに水を張り餌を浮かべる、3パターンの異なった状況を作り出して与えています。

 この記事を、目にされてから“鳥の楽園”にお越しになる際は、ただ通り過ぎるだけではなく、是非、ゆっくりと時間をかけて、どの鳥がどこで餌を食べているか観察してみてください。

(尾曽 芳之)