ラニー博子の耳はきれい?


 動物を飼育していると動物のいろいろな個性を観ることがあります。臆病(おくびょう)な者、のんびりした者、大きな身体の者、少し小さい者等様々なようです。因みに私はアジアゾウを担当していますが、天王寺動園のアジアゾウ達の鼻の利き巻きは、春子が左巻き、ラニー博子が右巻きです。私たちの右利き左利きのようなものです。御来園の際には“おやつタイム”の時に観察していただければ面白いと思います。

 天王寺動園では、2頭のアジアゾウ、春子(推定65歳)とラニー博子(推定44歳)を直接飼育(ゾウと飼育員が直接触れ合い健康管理等を行う飼育方法)しています。私たちは、朝とか日中作業を行いながらゾウ達の身体に直接触れて身体をチェックします.眼から異常に涙が出ていないか、耳の穴を覗いたり指を入れてみたり、口の中は臼歯の状態や口内炎はないか、牙の付け根は歯肉炎など起こしていないか、腹部に湿疹(しっしん)などがないか、陰部から不正出血や分泌物はないか、肛門(こうもん)の周りはきれいか臭いなどをさりげなく嫌がらない程度に確認します。2頭をチェックしていてふと気になることがあります。春子ラニー博子の耳の穴ですが、指を入れたり、周りを触ってみるとちょっと感触というか皮膚の感じが違います。春子の耳の穴は、良く乾燥していて耳垢(じこう)もぱさぱさで臭いも春子の体臭がするだけですが、ラニー博子の耳穴は、じめじめしてすごく湿っており、耳垢(じこう)もかなり緩くペースト状で耳穴より垂れ下がってくるぐらいでまた、どう表現していいかわからないくらい臭い。(耳穴より垂れ下がっているのを気付いた時にはきれいに掃除しているのですが)

ラニ―博子の耳の穴
ラニ―博子の耳の穴


 「これってもしかして外耳炎?ダニのせい?」と思いつつ耳垢(じこう)のサンプルを獣医師に検査してもらうと、外耳炎で炎症を起こしていることもなくダニの痕跡(こんせき)もないとのことでした。ほっとした私たちでしたが、何もなかったということは、ただただラニー博子の耳垢(じこう)は臭いという結果が出てしまい妙に虚しさを感じています。しかし、何もなくて良かった。個々に個性の違いや体質の違いがあるようです。

 因みに私の耳垢(じこう)もラニー博子と一緒でかなり緩い(まだ臭いを嗅いだ事がない)妙に親近感がわいてきます。今日も私の耳の穴は湿っている・・・・・・・

 

(小谷 信浩)