サル舎の仲間 ~フサオマキザル~


 サル舎に向かって一番左(通天閣側)に、フサオマキザルが3頭暮らしています。フサオマキザルはサル舎では唯一南アメリカ大陸にすむ仲間です。東南アジアやアフリカのサルたちを地理上の区分に従って旧世界ザルというのに対して、中央アメリカや南アメリカのサルたちを新世界ザルといいます。また、鼻中隔の幅を比較して、旧世界ザルを狭鼻猿、新世界ザルを広鼻猿といいます。隣にいるサバンナモンキーと顔を比較すると、鼻の穴の位置が広いのがわかります。といっても、けっしてブサイクな顔ではありません。むしろ愛嬌(あいきょう)があり、小柄ということもあるのか、お客さんには人気があります。

 フサオマキザルを漢字表記にすると「房尾巻き猿」になります。尾巻き猿の仲間で、頭の両側に房のような毛が盛り上がっている特長を表して「房」の字が付きます。オマキザルの特徴は何と言っても、物に巻きつけることができる長い尾でしょう。尾の先端内側が裸出していて、第5の手足の役割をします。

 

尾の先端部裏側

尾の先端部裏側

 頭部がまるで帽子を被ったように毛色になっているため、以前は頭巾ザルやカツラザルという呼び名が用いられていました。さて、その名前の由来ともなった「房」の部分ですが、当園の3頭の房がどうなっているか、ゆっくり観察してみてください。

 

ザビエ

ザビエ

ベジコ

ベジコ

マロ

マロ

 3頭3様の髪型(?)がよくわかると思います。頭のてっぺんがまるでお皿のように毛がないザビエル型でのザビエ。まるで剃(そ)り込んだような綺麗(きれい)なM字がドラゴンボールのべジータに似ているので、ベジコ。そして、まるでお公家さんの引眉のように毛が抜けている殿上眉型が、マロ。正確には、房の部分というより、その前後の脱毛した部分ということになりますね。名前からわかっていただけるように、3頭とも雌です。一度、ゆっくりと3頭を見に来てください。

 

 

(早川 篤)