ハイエナ夫婦


 天王寺動物園には4月で7歳になるレイ君と13歳になるちゃんのブチハイエナの仲がいい夫婦が暮らしています。夫婦円満の秘訣(ひけつ)は2011年に岡山県の池田動物園からおむこさんとしてやって来たレイ君が、来園以来アイちゃんに逆らったことがないからなのではないでしょうか。これはハイエナの掟(おきて)というか習性なのですが、「クラン」と呼ばれる雌を中心とした群を作り、雄は雌より順位が低くて、また、生まれた子どもの順位は親の順位によって決まります。順位の高い雌の子どもは順位が高く群のリーダーになりますが、元々順位が低い雌の子どもは順位が低いままなのです。一目で分かると思いますが、雌のちゃん雄のレイ君より一回り体が大きいです。

雌の愛

雌の

雄のレイ

雄のレイ

 

 野生ではライバルのライオンとしのぎを削っているわけなのですが、強いライオンと同じ場所に生息していても、絶滅しない理由がこのハイエナの群れの掟(おきて)が一つの要因だと考えられます。ハイエナは他の肉食動物の獲物を横取りしたり、死肉をあさる動物と誤解されている方が多いでしょうが、実はライオンよりも狩りが上手くて、逆にハイエナの獲物をライオンが横取りすることが多いようです。強力なあごと消化器官を持っていますので、骨まですべて食べ消化してしまいます。

 “おやつタイム”の時にいつもエサを食べるのはちゃんで、一歩後ろで欲しそうに我慢しているレイ君には、哀愁がただよってきますが、これも夫婦円満のためなのです。朝、展示してすぐちゃんに忠誠の意味を込めて、足を上げ自分の体の臭いを嗅いでもらったり、ちゃんの機嫌が悪い時には「ヒーヒー」と甲高い声を出し、逃げながらご機嫌取りに頑張っています。

 

おやつの鶏肉を食べる愛

おやつの鶏肉を食べる


 後は、赤ちゃんの誕生が楽しみなのですが、なかなか出産に至りません。交尾は何度か確認できていますので、気長にレイ君とちゃんの赤ちゃん誕生を楽しみにしています。そんなハイエナ夫婦に、ぜひ会いに来てください。

 

愛(右)とレイ

(右)とレイ

 

(町出 猛)