天王寺動物園のレッサーパンダは、今年の1月に19歳で雌のパンパンが老衰で亡くなったため、現在2頭を飼育しています。雌で8歳のシュウナと、7歳で雄のテンテンです。シュウナは7年前に静岡市立日本平動物園からやってきて、テンテンは東京恩賜上野動物園から2年前にやってきました。
レッサーパンダは、中国・ミャンマー、ネパールなどの標高1,500〜4,000mの森林や竹林に生息していて、初めは「パンダ」と呼ばれていましたが、後にジャイアントパンダが発見されて有名になると、単に「パンダ」といった場合はジャイアントパンダの方を指すようになり、従来のパンダの方には「小さい方の」という意味の英語のレッサー(Lesser)を付けて、レッサーパンダと呼ぶようになりました。
エサは竹がメインで、他にリンゴやペレット、おやつにプルーンを与えています。また、前足の種子骨が指状の突起に変化し、一見、親指のように見えるのですが、これを「擬似母指」といい、物をつかんだりすることができ、リンゴも器用につかんで食べます。肛門(こうもん)の周辺には臭腺があり、雄は臭腺による臭い付けや一定の場所に排便することで縄張りを主張します。
よくお客さんが、レッサーパンダが立ち上がったとか言われたりしますが、それは、地面に足の平がくっつく「しょ行性」という身体特徴のおかげで、ヒトやチンパンジー、クマと同じように足の踵骨(かかとの骨)を地面にくっつけて歩きますから、立ち上がることはそんなに不思議なことではないのです。
最後に繁殖については、1月〜3月頃に交尾を行い、妊娠期間は90〜150日で、6月〜7月頃に出産します。
いまのところ、シュウナとテンテンの交尾確認はできていませんが、決して相性が悪いわけではないので、焦らずに温かい目で見守っていきたいと思います。
(辻本 英樹)
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