仕事柄、世界各地へ取材に出かけます。そこで出会ったエピソードを3つほど。
《中国雲南省の犬》
中国 雲南省南部の少数民族ジノー族の村に訪れた時のこと。あるお宅で昼ごはんをごちそうになりました。 新鮮な野菜や美味しい鶏肉料理でした。高床式のおうちで家の中には少し痩せこけた成犬が2?3匹。犬好きの私は写真を数枚パチリ。するとその様子を見ていた主人(あるじ)が、「そんなにも気に入っているなら今から料理しましょうか?」『えっ…?』ペットと思っていたのですが実は食肉用だったのです。一度だけ中国のレストランで食べたことはありますが、さすが目の前の…ん… この時は主人に丁重にお断りしました。
《東ティモールのワニ》
インドネシア領 東ティモール…この国がワニ(クロコダイル)の形をしていることから、ワニが島になったという伝説があります。この島のビーチではワニが出るので、人々は海で泳ぐとき「アボ」(※アボとはテトゥン語でおじいさんという意味)とお祈りをし「クロコダイルさん私を食べないで下さい 私はあなたの子孫です」と言って海に入るそうです…。ティモール人はワニを神様と崇めているので決して食べたりしません。しかし、隣国のタイやパプアニューギニア、オーストラリアでは食べます。私もパプアニューギニアのジャングルでワニの丸焼きをご馳走になったことがあります。
では、そのパプアニューギニアでのお話を…
《パプアニューギニアの鳥の卵》
20年前、バックパックでひとり旅をしました。辿り着いたのは人口60人たらずの小さなマサダナイ村。「50年振りに外国人が来た!」ということで村の人々に大歓迎を受けました。では50年前の客は誰…? なんと太平洋戦争のニューギニア戦線の日本兵だったそうです。電気も水道も車もないジャングルで村人達はこの地域の主食のサゴヤシのデンプンを食べ、川魚やワニ、野鳥を捕まえ自給自足の生活をしていました。中でも驚いたのは卵料理。ジャングルの中で深さ1mぐらいの土山を掘りおこすと《ツカツクリ》という野鳥が産んだ卵がでてきます。それを友好の印に日本兵にもらったという飯盒(はんごう)で、ゆで卵を作りごちそうしてくれたのです。味は超濃厚卵黄で、かつ大きくて美味しかったです。50年間も飯盒(はんごう)を大切に使い続けている村人に感謝しました。外国を訪れるたびにいろいろな文化や風習に触れ、世界は広いといつも考えさせられます。