不自由な瞳で見えるもの


 

アルダブラゾウガメ

白内障で視力を失った春子の右目

 「自分は優れた人間だ」「自分以外は駄目なやつばかりだ」「自分の能力があればゾウなんて」「ここはゾウも飼い方も悪い」ゾウに嫌われる人を思い浮かべると、高飛車で謙虚さのない自己中心的な要素を持っている人が多いのです。

 一方、外部からのお客様でゾウに深く関わっている関係者の方と会うと、普通のお客様とは明らかに違う態度で接します。春子はやんちゃな子どもたちを脅すこともありましたが、反対にマナーを守る子どもたちには鼻を触らせてあげるような器の大きい面もありました。春子の不自由な白い瞳には、私たちに見えない人々の心や性格を見る能力があったのですね。

 

 

(西村 慶太)