

天王寺動物園には3頭(雄2、雌1)のクロサイが暮らしていますが、今回のグラフZOOは雄のライを紹介します。
ライは2016年2月29日に、愛媛県立とべ動物園から天王寺動物園に来ました。しかし、展示場に恐怖を抱きお客さんの前には1年以上出てくれませんでした。そこで2017年4月頃から方法を見直した結果、この年の7月頃から展示場に少しずつ慣れていきました。試行錯誤したようすを振り返ってみます。
展示トレーニングは毎朝することにしました。 
            まず、朝にたくさんの餌を食べる習慣をつけることにしました。そうすると朝は、前の夕方に食べてから一晩何も食べていないので、とてもお腹がすいています。 
            餌は板の上に置いて与えました。こうすることで板は餌がのっているものと学習してくれることを期待しました。 
            ライは「板のお皿」を目指して前に進んでくれるでしょうか? 
            (2017年4月上旬) 
「板のお皿」を置いても初めはゲートから展示場に出ようとしませんでした。 
            そこで大好きなヘイキューブ(牧草を固めた餌)を等間隔に置きました。 
            お腹が減っているライは一歩進まないとヘイキューブが食べられません。 
            ゴールにはまとまった量のヘイキューブがのっている「板のお皿」があります。 
            (2017年5月中旬)
展示場へ出るゲートをくぐった付近から、ライは何かに恐れているようでした。 
            ライが安心して食べられる位置を探してそこで餌を食べ切れたら、少しずつ「板のお皿」を運動場側に移動していきました。 
            (2017年6月上旬) 
ライは展示場側に進むにつれ急に何かに恐れてパニックになったりすることもありましたが、落ち着いて食べれるまでは「板のお皿」を動かさず。食べられるようになってから10cm単位で「板のお皿」を動かしていきました。すると岩陰付近ではしっかりと食べるようになりました。 
            (2017年7月上旬) 
展示トレーニング開始から2カ月ほどで自ら展示場へ出ていく姿が見られました。 
            展示場の真ん中に「板のお皿」を置くと食べに行きました。さらに展示場の奥まで散策する姿が見られました。しかしこの時点でも些細なことでパニックになったりしたので無理はせず慎重に展示しました。 
            (2018年7月中旬) 
2018年7月頃にはいきいきと餌を食べたり、マーキングをしたりするまでになりました。 
            まだ、ときどきですが些細な物音で鋭敏に反応し興奮状態になることもありますが、かなり頻度は減っています。 
            1年のトレーニングを経てライは恐怖を克服したといってもいいでしょう。現在は、繁殖に向けての取り組みも進めていますので、雌のサミアの次に雄のトミー、そしてライの順番で1日3頭を入れ替えて展示しています。 
            時間は動物の状態で流動的になりますが、午後以降にライの展示の出番があります。 
            ぜひ、成長したライを見てくださいね! 
            (2018年7月下旬) 
(中山 宏幸、上野 将志)







