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インタビューInterview

ベテラン獣医
西岡

ベテラン獣医 西岡

自己紹介をお願いします。

1969年2月28日生まれの魚座♂です。

育ちは広島で、小学生の時には、夏休みになると毎日のように近所のどぶ川にザリガニを採りに行っていました。釣りが好きで港の筏でハゼやカレイを釣ったり、山奥まで2時間かけて自転車で川釣りに行ったりとアウトドアな過ごし方をしていました。
高校卒業後1年浪人して大阪府立大学へ入学。大学時代は馬術部で毎日厩舎に泊まり、馬とともに寝起きする生活をしていました。

大学卒業後は大阪市役所に入職。7年間食肉衛生検査所で勤務。その後3年間動物管理センターで勤務。入職11年目に天王寺動物園に異動して現在に至ります。

西岡さんから見て、天王寺動物園の魅力を教えてください。

現在一番の魅力はコアラの屋外展示ですね。南方系のコアラなので冬場でも屋外展示場のユーカリの樹上で暮らしているコアラの姿を観ることが出来ます。アフリカサバンナゾーンでも生態的展示をしていますが、スペース的には狭いので大きな群れを作ってあげることは出来ません。コアラは単独生活者ですし、自然のユーカリを植えてあるのでまさに自然のコアラの暮らしを観ることが出来ます。10種類以上のユーカリのどの枝に腰をかけて休むかは、気温、陽射しや風の向き、強さなどで無数の選択肢の中から、その日の天気でコアラが自由に選ぶことが出来ます。ユーカリの樹上で風に揺られてのんびりしているコアラのアーク父ちゃんをゆ~っくり眺めてみて欲しいですね。

あとは都会の真ん中の交通の便がいい場所にあるので気軽に楽に来られるところも魅力ですね。

ベテラン獣医 西岡

西岡さんは、天王寺動物園では12年のベテランとのことですが、動物に接する上で常に心がけていることや後輩のスタッフたちに目指してほしい点などを教えてください。

動物たちに接するときには動物たちをよく観察することですね。そして、動物たちの行動を観ていろんな情報を得ること。本を読んで得た知識で頭をいっぱいにするのではなく、知識を持ったうえで自分の眼で観て確認することがとても重要なことです。

動物園で暮らしている動物たちのほとんどは、野生から捕まえてきた動物ではなく動物園で産まれた動物たちです。野生動物ではなく、野生との架け橋になる動物園動物だと思っています。動物園で暮らしている動物たちが、少しでも幸せな暮らしが出来るように動物たちの目線でいろんなことを考えて欲しいと思います。

長年教育普及活動をされていて、多くの子供たちや学生たちに関わってこられたと思うのですが、世代の変化を感じたことや印象に残った出来事を教えてください。

世代の変化についてはどの時代でもあるものです。10年一昔って言いますが、本当にそうなんだなぁと思います。大阪市内の小学生や中学生は、僕が育った環境とは全く違う、都会で暮らしている子どもたちなので考え方も違うと思いますね。聞いた話ですが、エジプトのピラミッドの中の壁画にも「最近の若いやつは…」みたいなことが書かれていたらしいですよ。

以前、コアラの屋外展示場でコアラのガイドをするプログラムに参加して頂いた小学生くらいの子どもが、コアラを見るのに飽きてユーカリに登って遊んだことがあり、「木登りしたことあるの?」って聞いたら「初めて」って。でも上手に木に登って楽しんでいました。木が1本あるだけで子どもって自分で考えて遊べるんですよね。あれしちゃダメこれしちゃダメって育てるんじゃなくて、自分で考えて行動できるように気付かせてあげて見守ることが大事だなぁと感じました。

あと、ズースクールの中で子どもたちにマイクを向けて質問することがありますが、その時にパッとマイクをとって答える子が多くなってきたかな~と思います。カラオケが普及している証拠ですかね?

今後、教育普及など動物に触れあっていただく機会づくりに対しての目指したい展望など教えてください。

人間しか見てないと人間だけの地球と思ってしまうので、そうじゃないでってことを伝えていきたいですね。図鑑やモニター越しでは感じられないものを感じていただけるようなプログラムを実施できたらと思います。単に触ってもらうだけのお触りプログラムじゃなく、命を感じられるようなプログラム。都会でもいろんな生き物と関わって自分が生きているということに気付いてもらえるようなプログラムがしたいなぁと思います。

最後に、教育普及のほか動物園の使命に基づく生物多様性の保全への貢献や、飼育動物を安定的に維持するために、具体的に取り組んでいることや、意識していることはありますか。

動物園で暮らしている動物たちは、野生の暮らしとは異なった暮らし方をしています。野生から連れてこられた動物ではなく、動物園生まれの動物たちが多く暮らしていて、野生動物と同じ姿かたちをしていますが、野生動物ではなく動物園動物です。

そんな動物園動物ひとつひとつの命ができるだけ幸せであり、豊かに暮らせるようにしなければならないと考えています。そのためには環境エンリッチメントの推進や正の強化によるトレーニングの取り組みを園として強めていく必要があります。

動物園で暮らす動物たちは、「地球が人間だけのものではなく、様々な命が暮らしているからこその地球だ」ということを、命をかけて学ばせてくれる素晴らしい存在です。そのことをわかっていただけるように、来園者のみなさまと出来るだけお話をする機会を持つようにしています。

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