ムフロンのテンですが、11月初旬ごろから元気や食欲の低下が見られたため、バックヤードに移動し治療に専念していました。約1か月半の間治療を継続していましたが、徐々に状態が悪化し、12月18日に自力で立つことや餌を食べることが困難になりました。
治療への反応が乏しく、継続しても回復の見込みがないこと、またこのような状態ではテンの苦痛が継続し、QOL(生活の質)が低下することが考えられたため、当園のガイドラインに基づき内部での検討会議を行いました。その結果、安楽殺が妥当であると判断し、12月19日11時30分に麻酔薬剤による安楽殺を実施しました。
以下、担当者からのコメントです。
ツウ、テン、カク(通天閣)と命名されてから、天王寺を盛り上げてくれたムフロンたちでした。
ツウが亡くなってからはテンとカクで長い時間を過ごしていました。最初はカクにやられっぱなしだったテンですが、カクが老いてくるとともにだんだん強くなり、カクに勝つことも多くなっていました。
そんなカクも今年の1月に亡くなり、岩山に1頭となってしまったテン。
通天閣の顔としてあの岩山を1頭で守ってくれていました。
そんなテンでしたが、11月4日に元気や食欲が低下し、寒さからの避難と治療への専念のため、9日からバックヤードでの入院生活を送っていました。
引っ越してすぐは、落ち着かない様子も見られていましたが、治療にはとても協力的でした。
治療のため毎日のように注射があったのですが、ほんとうに協力的でした。担当者である私だったらいやになってしまいそうでしたが、テンは生きるために根気強く応えてくれていたように思います。
この1か月半は状態が上がったり、下がったりを繰り返していました。食べられるものがその日によって変わるので、いろいろなところに採集に行き、少量でも何か食べてもらえるようにしていました。
毎日のテンの気持ちに応えられていたかは今となってはわかりませんが、テンの生活を支える手助けができていたらよかったなと思います。
治療にも協力してくれ、食べたいものを教えてくれて最後まで生きようとする姿を見せてくれていました。
過去には大きな手術を経験したこともありましたが、
あの岩山で、私たちの姿を見ると元気に鳴いてくれる姿が印象的でした。
またその姿を見られると思っていただけに残念です。
テンからはたくさんのことを教えてもらいました。
彼から教わったことを今後も生かして飼育管理に励もうと思っています。
テンのことを気かけていただいた皆様、これまで本当にありがとうございました。
テンの死亡によって当園でのムフロンの飼育は終了となります。
テンちゃんありがとう。お疲れ様。