カバの飼育日誌② 「カバ男君、苦労の時」

天王寺動物園は今日もいい天気
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新しいカバさんには名前がまだありません。なんとメキシコでも名前がなかったそうです。輸送に携わった方々がノエルと名付けていたので、現場ではそのまま受け継いでノエルと呼んでいますが、誰が言ったか知りませんが、以前からカバ誘致に向けて動き始めた時にカバ男君と呼ばれていたのでとりあえずカバ男と呼ばせてもらいます。

 

さて、カバ男君のお世話は当面サバンナチームのクロサイ担当とカバ担当のサイカバチームの二人体制で行うことになります。
今回は来園初日から5日間のお話です。
カバ男君は来園初日にセットした餌を全く食べることなくプールに潜ったままでした。こちらからは全く姿が見えません。私たちはプールの水の量を下げて飼育することを検討しました。
その理由は、カバ男君は5才ということで予想では大きいと思っていましたが実際に見てみると小さいと感じました。
現状の室内プールの水位は小柄なカバには少し深いのではないかと思いました。それにこれから1月間、室内プールで検疫するので、排水して清掃もしなければいけません。また、横浜検疫所から天王寺動物園までにカバ男君に携わった方々からの情報では大人しいカバと評していました。
それに横浜の検疫所ではプールがありませんでした。
このまま深い水の中に潜っているよりも少し水位を下げた状態で飼育したほうが飼育管理もしやすく、カバ男君も早く慣れるのではないか?
変更するなら早いほうがよいと考え2日目に排水することにしました。
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その前にテツオを外に出しました、テツオもカバ男君を意識してか走って屋外プールに出て行きました。ティーナもカバ男君に興味があるようです。ティーナも屋外プールに出しました。3頭のカバ同士意識しすぎて大事に至らなくて安心しました。
それからカバ男くんの姿が見えるまで水量を下げてみました。当初はあまりおびえているようにも見えませんでした 。

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減水されて物理的に姿を見えるようになったカバ男君に、どれだけ人に慣れているのか?

挨拶代りに手渡しで餌を食べるか、ホースの水遊びで遊んでくれるか試みました。ですが、あまり好反応ではありませんでした。

間を取りつつも試みたものの、攻撃的な態度が発現しました。床に置いた餌も食べません。

私たちはカバ男君に接する時は基本1人で行い積極的な接し方は行わないように決めしました。

3日目も床に置いた餌は少しかじっただけでした。

4日目は犬歯らしきものがプールの水中に落ちていました、その時カバ男君は陸にいたので回収するために、間仕切りを閉めようとするとすごく怒って阻止されました。
また、この日は力なく水中で横になっていた事がありました。

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確認のため声をかけると起きたので安心しましたが、餌もあまり食べていないので体力はだいぶ低下しているはずです。

5日目は朝来てみると天井の電灯とヒーターが壊れていたのに驚きました。
まさか届かないと思っていたのですが、どうやら壁に足をかけて狙って飛びついて落としたようです。

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おとなしいはずのカバ男君ですが餌を食べなかったり、暴れたり混乱している様子です。
思えば、メキシコから天王寺動物園までの移動は目まぐるしい展開だったことは想像に難しくありません。やっと落ち着く水を得たのにそれを減量されては「なにすんねん!」と思ったことでしょう。
水を抜いたのは逆効果であったのかもしれません。私たちサイカバチームは飼育方法を再検討しました。
とにかく大事なのはカバ男君が心休まり、餌を食べることです。
水は満水にした上での飼育環境で順化するのを待つことにしました。まずは床に置いた餌を普通に食べるまでを一つの区切りとして見守ることにしました。

つづく

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