ヨウスコウワニの恋の季節

アイファー(爬虫類生態館)

 

皆さんワニの鳴き声って聞いたことありますか?

そもそもワニが鳴くこと自体あまり馴染みがないのではないでしょうか。今回はワニの鳴き声についてご紹介したいと思います。

天王寺動物園の爬虫類館IFAR(アイファー)ではミシシッピワニとヨウスコウワニの2種類を飼育していますが、今回はヨウスコウワニについて紹介したいと思います。

体がとても小さくて、お客様から「ワニの子どもいてるで!!」という声をよく耳にするほど小柄なワニです。展示しているヨウスコウワニはすべて大人で、屋外展示場に2頭、屋内展示場に1頭、そしてバックヤードに1頭の合計4頭の大人のヨウスコウワニを飼育しています。

 

~冬眠~

ヨウスコウワニは冬眠をします。去年の12月中頃、日中の気温が10℃を下回り始めたころ、屋外のワニたちは冬眠のためにシェルターに入って行きました。屋内やバックヤードの個体たちも気温低下や日照時間などで活動が低下します。しかし大阪の冬は0℃を下回る日は少なく、冬眠が不完全で時々泳いでいるワニの姿を見る日もありました。しっかり冬眠することは繁殖に大きな影響を与えるため、あまり好ましくない光景です。

~冬眠から明けて~

4月になると最高気温が20℃を越える日もあり、気温の上昇とともにヨウスコウワニの行動も徐々に活発になってきて、水面から目と鼻と耳を出してゆっくりと泳ぐ姿も見られるようになります。陸場で太陽光を全身で浴び気持ちよさそうに日光浴している姿を確認し、無事に冬眠から明けたということに一安心です。冬眠中は姿を確認できる日も少なく、もちろん餌も食べてないので毎年冬眠明けの時期は不安で仕方ありません・・。とにかく元気な姿を見るまでは毎日観察です。冬眠の邪魔をしないように。

~鳴き声が聞こえます~

5月中頃からさらに気温が上がりだし、最高気温が20℃を越える日が続きます。そしていよいよワニたちがとてもよく鳴く季節がやってきました。恋の季節です。

 

 

求愛行動であり、雄と雌が交互に鳴き合う行動が見られます。この鳴き交わしが交尾行動に直結する訳ではありませんが、雄雌の発情のタイミングが合えば交尾行動に繋がるので、我々のできることはとにかく良い環境を用意することです。

ガラス越しで鳴き声がはっきり聞こえないので、近くで撮影してみました。

 

今年も発情期に備え完璧な環境を整えて、なんとか繁殖に成功するようにチームアイファーで頑張っていきたいと思います。

 

ところで余談ではありますが、

2020年のイグノーベル賞を憶えていますでしょうか?

日本人が音響学賞を受賞したことで話題になりました。「ヘリウムガスを吸わせたワニにうならせた研究」に対して賞が贈られたのですが、この研究で実験対象になったのがヨウスコウワニでした。繁殖期の鳴き交わしを利用して、ワニにヘリウムガスを吸わせて声の変化を聞き取ろうというものでした。そして、なんとワニは声を発していたのです!!!

興味のある方はぜひ調べてみてください。

“真面目にふざける”って、奥が深いですよね。

 

 

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