イヌワシの仮親作戦

秋田市大森山動物園からイヌワシの有精卵をいただきました。

ニホンイヌワシの保全のため、個体数を維持しつつ血は濃くなりすぎないように、全国の動物園が協力しあっています。

昨年度のイヌワシ計画推進会議で、このような話題が出ていました。
(イヌワシ計画推進会議についてはコチラ→イヌワシ推進会議に行ってきました | 地方独立行政法人天王寺動物園)

天王寺動物園のペア(朱鷺×姫神)は、子育てが上手なのですが、日本中に血の繋がった親戚が多く、これ以上の繁殖は厳しい…

一方、大森山動物園のペア(紫雲×西目)は、親戚が少なく増やしていきたい血統だが、卵を上手く抱けず繁殖が難しい…

そこで、大森山動物園の卵を天王寺動物園のペアに育ててもらう、仮親作戦が計画されました。過去にも近場の動物園同士が実施した例はありますが、秋田から大阪の長距離移動は初の試みです。

ということで、卵の状態が安定する時期を見計らって譲り受けに行きました。

秋田市の報道関係者が見守る中、卵が回収されます。
⇩卵回収の様子

⇩見守る報道陣

回収した卵を調べると、しっかり脈拍があり、有精卵であることが確認されました。

⇩画面に脈拍の波形が表示されました

携帯用孵卵器(卵を温めたまま運べる機械)に入れ、8時間程かけて新幹線で運びます。飛行機の方が短時間で運べますが、振動に弱い卵を荷物として預けてしまう事に不安がありました。新幹線なら常に手元で見守れますし、コンセントがついているのでバッテリー切れの心配もありません。
⇩携帯用孵卵器に入った卵

⇩新幹線で運びました

2人体制で、卵を持つ人と護衛に分かれ、極力振動を与えないように慎重に運びます。

東京駅、新大阪駅の人混みではかなり気を使いました。

天王寺動物園に到着し、巣にある卵と大森山動物園の卵を交換します。
⇩交換完了

作業が終了し人が離れると、すぐに姫神が巣に戻ってきて、交換した卵を温め始めました。

回収した天王寺動物園のペアの卵は、共同研究機関に送り、保全のための研究に活用します。

大森山動物園から引き継いだ命、無事に育ってほしいですね。

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