みなさん こんにちは
本日のブログはチュウゴクオオカミの楽楽の研究についてです。
「動物の行動と管理学会」2023 年度大会において、天王寺動物園との共同研究の発表が行われました。
立命館大学人間科学研究科 高山仁志氏の発表で、タイトルは「飼育下オオカミのQOL 拡大の取り組み―行動的QOL を指標として」です。QOL とはQuality Of Life の略で、「生活の質」という意味です。
研究内容を簡単にご紹介します。
動物園では、できる限り動物たちには幸せに暮らしてほしいと考えています。
ですが、いまの生活環境が満足のいくものなのかどうかは、動物自身にしかわかりません。
チュウゴクオオカミの楽楽にもっと満足してもらうために、楽楽の幸せや満足度を測定する必要があります。でも、言葉の通じない動物の満足度を、どうやって測るのか?という問題があります。
そこで今回の研究では、行動から動物の満足度を測定する「行動的QOL」という指標を用いました。行動的QOL とは、ものすごく簡単にいえば、「生活環境の中に、その子の嬉しい・楽しい・大好きな選択肢を増やすことで、満足度を上げよう」という考え方です。
楽楽の好きな物や好きな活動の選択肢が増えれば、楽楽の満足度も向上するのではないか?ということで、行動を観察して楽楽の生活の質が上がったかどうかを測定しました。
具体的には、楽楽の展示場に色々なアイテムを置いて、どのような反応をしたかを観察しました。
実際にどのような反応だったのかは、動画をご覧ください。
✅楽楽消防ホース3種フレーバー
消防ホースの中に草食獣の使った藁や糞尿を入れました。赤ライン(シカ臭)、黄色(シマウマ臭)、無印(エランド臭)を置いてみました。
✅楽楽藁ボール
藁で編んだボールを入れてみました。
✅楽楽藁段ボール
段ボールの中に藁を入れてみました。
観察の結果、楽楽が繰り返し遊ぶオモチャ(選択肢)が増えました。1 回だけ遊ぶのではなく、繰り返し何度も選んで遊んだということは、そのオモチャを楽楽は気に入ったのだろうと考えられます。
そのお気に入りのオモチャが増えることで、以前と比べて楽楽の周りに好きなことが増えて、「生活の質」が上がったのではないかと考えられました。
今回の研究結果を受けて、楽楽だけではなく他のオオカミたちにも実践し、それぞれの個体にあったおもちゃや環境作りに取り組み、QOLの向上を目指していきます。