冬なのに夏羽とは?!

飼育員ブログ

みなさま こんにちは

現在、天王寺動物園では、大阪市内で死亡していた野鳥から鳥インフルエンザウイルスA型が検出されたことを受け、感染予防の観点から、多くの鳥類施設の展示を見合わせております。

大変ご迷惑をおかけしますが、どうぞご理解お願いいたします。

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そこで、現在閉鎖中の鳥の楽園から、鳥たちの様子を発信させていただきます。

それと同時に、鳥にまつわる少し変わったお話をしたいと思います。

鳥に詳しい方からすると普通のことかもしれませんが、どうぞお付き合いください☆

暑かった秋がようやく終わりを告げ、しっかりと冬に季節がシフトしてきた頃から、鳥の楽園で暮らすカワウたちの姿に変化がみられるようになりました。

カワウといえば、このような真っ黒な姿が特徴的な鳥ですが、

カワウといえばこちらの黒い姿が一般的では?

毎年冬になると、頭や胴体の一部に白い模様が出てきます。

冬から春にかけて頭に白い羽が出現します

この姿を見ると、私たちは、あぁ…冬だなぁと感じます。

にもかかわらず、図鑑を見てみると、この頭の白いカワウの説明に『夏羽』という文字。

毎年冬に見られる姿やのに夏羽って?!もしや印刷ミス??

 

いえいえ、違います。この理由は、『夏羽』の定義にあります。

夏羽:つがい形成期や繁殖期に見られる羽のこと。必ずしも、夏期の羽とは限らない。

つまり、カワウの場合は、冬期の羽が『夏羽』というわけなんです。鳥の楽園にカワウと一緒にいるカモ類のマガモやオシドリも同様に秋から春にかけての羽が夏羽と呼ばれる状態です。

世の中には様々な図鑑がありますので、調べてみると説明に夏羽という言葉は使わずに、繁殖羽と書かれている図鑑もありました。

鳥類学の世界では、 夏羽 = 繁殖羽 というポイントを今日は是非覚えてみてください。

ちょっとややこしいですけどね

並んで日光浴をするカワウたち

鳥類には、世界中を移動する渡り鳥も多くいますので、私たち日本人の感じる四季とは一致しない季節を過ごす種類もおりますので、言葉にも例外がたくさん発生します

もしみなさんが動物のことを調べていて、「あれ?」「なんで?」と思われたときには、その「?」の気持ちを大切にして理由を調べてみると、おもしろい発見があるかもしれませんね

 

おまけ

バックヤードで衣替え中のヨシガモの様子です。

真ん中の首が白いのがオスの模様(一番奥は生え変わり途中です)

デビューについては特に決まっていませんが、素敵な羽になってきましたので、先にブログデビューさせていただきます

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~鳥インフルエンザに関するお知らせ~

もし園内で野鳥が死んでいる、または、弱っているところを見つけても、不用意にさわらず、スタッフにお声掛けください

次に、ハトやカラス、サギなどの野鳥に餌を与えないでください
野鳥が集まると、鳥インフルエンザウイルスを園内に持ち込む機会が増えることになってしまいます。ウイルスは、感染力が非常に強く、鳥の種類によっては致死性も高く数日で死に至ってしまいます。

鳥類たちを守るためにも、どうかご理解ご協力をお願いいたします。

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