カバの飼育日誌⑥

こんにちは 飼育スタッフです
ブログチェックのみなさま ありがとうございます

カバ担当さんから飼育日誌第6弾が届きましたよ~

≪ゲンちゃんとクリッカー≫

6月1日にゲンちゃんにレスポンデント条件付け(※)を行い、犬笛の音を聞かせたところ、
すごく機嫌が悪くなりました。 ※レスポンデント条件付けについてはカバの飼育日誌⑤を見てね
実はテツオでも同じような経験がありました。
テツオに犬笛を聞かせたところ、急に眼がギョロリとなって水中に潜ってしまい
私と距離を置かれた経験があります。

その時はまだ
自分とテツオとの関係ができていないのかな?
カバは鼻から息を吹いてカバ同士コミュニケーションを取っているので、
犬笛の「シュッ」と吹くような音は合わないのかな?
などと思っていました。

当時の私の方法に問題があったかも知れませんが、
それにしてもおかしかったのを記憶しています。
カバはとても警戒心が強い動物でこちらから見てユーモラスな表情していても、
どこか身構えている気持ちがあり、ちょっとしたきっかけで
警戒心が増幅する傾向があるように思います。

また動物は身に嫌なことが起こると逃避行動や回避行動をとるようになります。
レスポンデント条件付けは意図して動物にとって嫌な音を条件付けすることも
理論的には可能なので、動物が警戒している時に行うと
危機的な出来事と結び付ける音になってしまう可能性もあります。

ゲンちゃんもテツオも犬笛を聞いて逃避や回避行動が表れていたので、
どのような形でこうなったかわかりませんが、
2頭にとって犬笛の音が「嫌な音」になっているのは間違いありません。

≪クリッカーで再試行≫
今回の犬笛での条件付けは残念ながら失敗でしたが、他に実績がある道具があります。
それはクリッカーと呼ばれる道具で、ボタンを押すと「カチッ」という音がします。
このクリッカーで改めてレスポンデント条件付けを行うことにしました。

ゲンちゃんのコンディションが良い状態になるまでは、そう時間はかかりませんでした。
そして6月8日にクリッカーでレスポンデント条件付けを始めました。

すると、クリッカーの音に逃避行動や回避行動は見られず、問題なく対提示手続きは推移しました。
その後何十回も行いましたがトラブルなく推移して条件付けは成功しました。

今回はテツオとの出来事もあったので犬笛を導入する前に、
飼育員とゲンちゃんの間によい出来事を「対提示」する事がとても大切だと感じていました。
それは餌を与えながら触れ合うことです。
これは人の社会で例えると家族や仲間で楽しい食事を重ねることに似ているかもしれません。
クリッカーでも失敗したらどうしようと心配もありましたが、そうならずによかったです。

ゲンちゃんはこれから天王寺動物園という新しい展示環境に慣れるとともに
展示場と寝室の行き来する生活のリズムにも慣れていかないといけません。
こうした飼育管理にクリッカーを活用していきたいと考えています。
しかしながら、ゲンちゃんの心の調子に注意して使用しないと、
今度はクリッカーが嫌な音になってしまうかもしれません。
そうならないようにしないといけないと思いました。

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