ジャックから学んだこと

みなさんこんにちは

本日はふれあい広場担当飼育員さんから届いたお便りを紹介します!


2021年10月31日に亡くなったフタコブラクダのジャックについて、ブログでお話すると言いながらかなり月日が経ってしまいました。

今日は、2016年に私がジャックの担当になってから最期までのことを写真とともにお話したいと思います。

↓2016年8月のジャック

〇2016年4月

ふれあい広場の担当になりたての頃は、ジャックがどのような性格なのか、飼育員に対してどのような行動をするのかがわからず、まずはジャックのことを知ることから始めました。また、当時のジャックは運動不足の影響もあってか下痢気味だったので少しずつ運動量を増やしてもらうことにしました。

〇2017年4月

徐々にジャックの性格がわかってきました。餌をハトに取られているのに怒らずに食べ続ける姿を見るとオットリとしているなと感じました。飼育員に対しても攻撃的な行動をするところを一度も見かけなかったです。(若い頃は飛び跳ねていたようですが
ジャックのいるグラウンドに新しい土を入れると気に入って必ず上に乗ってくれました。
↓土の上に乗るジャック

〇2018年4月
安全にジャックの健康管理ができるようにハズバンダリートレーニングも開始しました。
この年に大型の台風が日本列島を通過。暴風雨の中、心配でジャックを見に行くと、「ん?どうした?」といった感じでモシャモシャと乾草を食べながらこちらを見ているジャックが。「え!?怖くないん?」と驚いたことを覚えています。
↓その年の台風による被害の様子

〇2019年4月

この年齢くらいから少しずつ老いを感じるようになり、毎年桜とジャックを撮影しようと思いました。
また、餌台を数カ所に分けるなど、さらに運動してもらうようにしました。

〇2020年4月

ハズバンダリートレーニングで可能となった体重測定、体温測定、採血を定期的に行いながら健康管理をしていました。

が!!

この年の秋頃から座りダコの傷が治りづらくなり、長期に渡って治療することになりました。

〇2021年4月のジャック

座りダコの治療をしつつ春を迎えました。ジャックは29歳になり、高齢といえますが、まだしっかり歩いたり、食欲もあったのでこのまま元気に30歳を迎えることができると思っていました。
しかし、9月には脚を痛め、10月中旬から座りダコの傷が原因で、体調が著しく悪くなっていきました。

そして、残念ながら10月31日に亡くなってしまいました。

↓亡くなる前日のジャック

↓ジャックのいないグラウンド

ジャックのいなくなったグラウンドを見てもちろん悲しい気持ちになりますが、私たちはより良い飼育管理をすることが仕事です。悲しんでばかりはいられません。

動物たちが生きてるうちになにをしてあげられるかを考えて実行し、亡くなった後になにをしてあげられなかったかを反省することに集中しないといけません。

ジャックの場合は、

・長生きしたとはいえ、餌の内容は改善の余地があったのでは?
・若い頃からもっとエンリッチメントなどで環境を豊かにし、退屈な時間を減らし、運動してもらえたら老化を遅らせることができたのではないか?
・本来群れで暮らす動物なので1頭での暮らしも刺激が足りなかった。
・屋内に入ることのできる選択肢が必要。

などと、反省点がたくさんあります。

私はジャックがいてくれたおかげでフタコブラクダや高齢動物の飼育について考え、学ぶことができました。
ジャックには長い間天王寺動物園で暮らしてくれたことも含め感謝しています。

ふれあい広場には、他にも高齢の動物たちが暮らしています。ジャックから学んだことを今いる動物たちの飼育管理に活かしていきたいと思います。

最後に、たくさんの方々にジャックに会いに天王寺動物園に足を運んでいただきました。
体調が悪いときには応援をしていただいたり、本当にありがとうございました。

また、治療中のジャックの様子をシェアピクリエイターのつまき♪さんに取材していただいたので、ぜひご覧くださいジャックが亡くなる8日前の姿です。
★高齢のラクダさんの治療とケア♪天王寺動物園を取材!★動物園の新しい楽しみ方=シェアピ式♪

ふれあい広場担当飼育員より


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