みなさんこんにちは。
突然ですが問題です!
この木はジャガーの展示場にあります。さて、どうしてこんなにボロボロなのでしょうか?
アップにするとこんな感じです。表面が剥がれていますね。
さて、理由がわかりますか?
えっ?朽木だから?
違います。この木はとても硬い木です。
表面がボロボロになってもここに置いておく必要があります。
おそらく、多くの方はわかったと思いますがヒントを出しますね。
じゃじゃん
木の周りにこの白いものがよく落ちています。
正解はこちら↓
バリッ!バリッ!!
ジャガーのロンが爪研ぎでこの丸太を使用しているからです。
この太い前肢で力強く爪を研ぐので、それはそれは硬い木でもボロボロになります。
ジャガーなどのネコ科にとって爪研ぎはとても重要な行動です。展示場にただ木を入れておけば良いというわけではなく、木の種類、長さ、直径、角度を調整しないと爪研ぎをしてくれません。
でもどうして爪研ぎをするのでしょうか?
ネコ科にとって爪は狩りをする時に重要な武器となります。そのため、いつでも尖らせておく必要があるのです。私たち人間の爪の形は扁爪(ひらづめ)と言い、ネコ科の爪の形は鉤爪(かぎづめ)と言います。扁爪は手先を器用に使うためや指先の保護の役割を果たし、伸びた部分が摩耗して自然と短くなります。一方、鉤爪は引っ掛ける・刺す・地面に食い込ませてスパイクの役割などを果たし、古くなった表面の爪が剥ける構造になっています。剥けた後は、その下にある尖った新しい爪が出てきます(動物の種類によって鉤爪の構造が異なります)。
つまり、爪を「削る・切る」のではなく「剥がす」必要があるということです。なので、時にはこんなに綺麗に古い爪が剥がれることもあります(上の写真)。
ですが、この尖った鉤爪が常に露出していると歩きづらく、意図していない時に物に刺さったりしてしまいます。そこで、使わない時は仕舞われています。
過去に麻酔をかけた際に撮影した写真です。普段は爪が見えませんが…
シャキーン!力を入れると爪が出てきます。
私の指が小さく見えるほどロンの手が大きいですね。
ロンは朝一に爪研ぎをする事が多いので、まだ見たことがない方は開園後すぐにジャガー展示場にお越しいただけましたらチャンスはあります。是非、お越し下さい。
それでは今日はこの辺で。
おおきに〜
最後の一枚
撮影されていることに気付いたロン
ジャガー担当飼育員