ロンと小春とそれからわたし その⑥

これまでシリーズで①~⑤までお届けしてきましたが、いよいよ最終回です!

前回までの記事はコチラ→     

身近な自然では、どんどん渡り鳥たちが動いている様子を感じます。また、繁殖に向けてたくさんのさえずりを聞くことができるようになりました。

桜が咲く頃には、園内でもウグイスのさえずりを聞くことができました。

「ホーホケ!」←あ~まだ足らん!(私の心の声です)

「ホーホケケキョ!!」←ん~なんかちょっと多い!

「ホーホケキョ!!!」←よっしゃ、やっと言えた!!

「ホーホケキョ!ケキョケキョケキョ~……」←とってもとっても綺麗やで~♪いい人(トリ)に出会えますように♡

ウグイスのオスが木の高いところに移動して、少しずつ上達するさえずりを聞くと、この季節の移り変わりを感じて嬉しくなります。

また、毎朝私は家の屋根の上から聞こえるイソヒヨドリの美しい声で起こされますそして、最寄りの駅ではビルの上からも別のイソヒヨドリの一生懸命な声が聞こえ、お見送りをしてくれます。「さあ今日も頑張ろう!」と一日が始まります!!

みなさまもぜひ耳を澄ませてみてください!たくさん聞こえてきますよ~

 

【得意でも得意じゃなくても…】
昨年4月からジャガーの担当になったということで書きだしたこのブログ、リーダーに「河野さん、ジャガー担当してもらいたいんやけど、頼むな~」とスタートし、12年の飼育員人生でも大型肉食獣の担当は初めてで、そこから「さて、何が私にできるだろうか…」と悩みました。ちなみに、ジャガーといえば、前職場も含めて担当してきたアメリカバク、カピバラ、ナマケモノ、ワニ…、あと私の推し動物のペッカリーを食べて生活をする生き物、なんだか伏線回収かと思いましたジャガー担当として取り組んできたアレコレはシリーズ①~⑤でお話しできたかなと思います。今回はもう1つ紹介したいことがあるので、書かせてください

ジャガー舎にいらした方はお分かりだと思いますが、展示場ははっきり言うとそんなに広くありません。彼ら(ロンと小春)の動きも限られてしまいます。すると、運動するチャンスもなく一日の流れは単調になってしまいます。それを防ぐために、展示場をもっと立体的に使うことはできないだろうか、と考えました。前任者の方々が取り組んできたことがたくさんあったので、それがヒントになりました。一つ気になっていたことが、小春の展示場にある消防ホースでできたハンモックが経年劣化によって伸び伸び~になっていたので、そこの隙間に小春が頭を挟んでしまわないかということでした。まずそこをなんとかしようと考えました。「さあ、どうしよう……消防ホースを使った工作はフィーダー(食べ物を工夫して取り出して食べるための入れ物)を作ったぐらいで、できるのかなあ、…でもやってみよう!!」と取り組み始めました。

 

では、まず消防ホース(寄付でいただきました、いつもありがとうございます)を2本用意します。それを上下上下と編んでいきます。消防ホース自体がとても重たいので(だから丈夫)なかなかの重労働あれ…長さが足りない

TAKE2、よいしょよいしょと編みこんでハンモックの形になりました。

この状態では時間が経つと網目の隙間がひらいてしまいます。動物が使うのに危険を伴うことになるので、網目を固定をしなければなりません。そこで、ホースに穴をあけて、ボルトとナットで締めるというのを何か所も、今回は旧モデルより箇所を増やしたものにすることにしました。インパクトドライバーに円錐形のジョイントを付けて行うのですが、丈夫なホース2本分のためなかなか大変でした。

ハンモックが大きく、ボルトとナットで締めるのも私の短い手では至難の業でした…!そのため、同僚にもお手伝いしてもらいました

毎日通常の作業の合間時間を用いて、少しずつ少しずつ取り組んでやっと1枚作り上げました。リーダーに画期的な道具を借りて見守ってもらい、それを展示場に吊るして設置しました。

実際に乗ってみて安全か試してみたら、「これ、安定していますし、包み込む感じや揺れる感じがとても気持ちいいですね!」と言ってもらえました。

↓小春からの目線は…

設置後、さっそく小春に展示場に移動してもらいました。前のハンモックとにおいも違うので、最初は警戒していましたが、半日経つとすっかりお気に入りになりました。

小春が寝室に帰った後にハンモックを見てみると、黒い毛がびっしりついていました。

ハンモックの作り方を把握できたので、2号機も地道にコツコツと作りました。

 

展示場を立体的に使ってもらうことが目標だったので、さらに上に高いところにも設置しました。

2号機の場所は、小春が擬岩の祠の上からひょいっと乗れて、その様子をお客様にも見てもらいやすい位置を選びました。

↓ばっちり肉球を観察できます!!

こちらは、展示場に吊るしている丸太の上の部分にアプローチできるため、小春は寝転がりながら丸太を使ってまた違った遊びを開発していました!!

高いところばかり使うのかなと思いましたが、意外とハンモックだけでなく、地面にあるトロ船にも入っており、その日その時小春が楽しいところを選んでいるのかなと思いました。と、こんな小春を隣の展示場からロンも目で追っていて、ときどき2号機ハンモックの小春と同じ目線でお互い見ていたりと、ロンにとっても刺激になったというお話でした。

 

【ロンと小春とそれから私は…】

昨年、2025年といえば関西・大阪万博で盛り上がりました!!皆様も行かれたでしょうか?

↓園内から見える通天閣も万博カラー&ミャクミャクもいました!

実は私も行きました。灼熱の中、なかなか過酷な戦いでしたね(笑)でも、いろんな国ごとの展示がありました。やっぱり目につくのは、いきものや自然環境に関する展示に目が行くのですが、特に気になったのはジャガーでした。意外とたくさんいました。例えば、アフリカの国のパビリオンでは、ゾウ、キリン、ライオンなどが競合していてパビリオンごとで大きく展示されている動物が異なっていましたが、ジャガーが暮らす環境をもつ国では、堂々とジャガーが大きく展示されていたので、とてもたくさんいた印象でした。例えば、コロンビア、ペルーなど(写真は違うところ)。

それは、ジャガーといういきものは、その地域の生態系のトップに君臨するので、現地ではとても重要な存在なのかなと改めて認識しました。それからコロンビアパビリオンにあったジャガーの説明看板には、ジャガーの柄の説明に『蝶のような』柄だとありました。確かに蝶にも見えますね!日本では、『梅のような』と①で説明いたしましたが、現地ではやはり周囲に存在するもの、チョウがたくさんいる環境だからこその解説なのかなと、私は素敵な表現だと思いました。

 

いろんな環境でいろんないきものたちが危機的状況に置かれているのはご存じだと思います。では、ジャガーが暮らす環境の現状はどういうものか、気になってきましたよね??ジャガーはアマゾンをはじめとする熱帯雨林やパンタナールという湿地、サバンナなど様々なところに生息しますし、泳ぎも得意なので移動もたくさんでき、食べ物もいろんないきものを口にすると説明してきました。ですので、力強く生きているのではないかと思われたのではないでしょうか?しかし、実態は…ヒトによる森林破壊、密漁、害獣としての駆除により数をどんどん減少しています。

そのなかでもアマゾンでのエピソードを紹介します。一昨年だけでも東京都の13倍の面積の熱帯雨林が奪われているということでした。アマゾンは地球の裏側のお話といえどもこれはまわりまわって、日本の異常気象にも影響を与えることにつながるのです。アマゾン地区では森林の8割を保全することが法律で定められています。しかし、違法に伐採されて、火をつけて焼き払われたりしています。現地で違法業者を取り締まるだけでは不十分で、森を切り火を放つ背景にはどんな黒幕がいるとおもいますか?切り開いた土地で、何にするのかというと、農業です。小規模農家が適度に使っていたところを大規模農業ビジネスをする企業が買い取って、たくさん稼ぐことができる大豆畑にしてしまうのです(総量も10年で2倍にも!)。実はその大豆は、日本も鶏の飼料として輸入していることもあります。このヒトによる森林破壊を止めてもそれが遅ければ、臨界点を超えてしまい、アマゾン川の一部が干上がってそこに火災が起こって、回復もできず、連鎖的に異常が広がっていってしまっています。森林に戻れず、このまま熱帯雨林がサバンナの状態になってしまうと、森林が光合成の時に放出する水蒸気が大量に雨を降らすことができず、火災にもつながり、炭素(二酸化炭素)を固定する森ではなくさらに悪いことに排出する森になってしまうということでした。そうなると、乾季も長期化することで、雨が降らず農業の生産性も下がってしまうので、農業自体も続けることができなくなります。違法で生産されているものと環境に配慮した合法のものが混ざる形で世界中に流通してしまっています。対策として熱帯雨林の保全基金も作られています。農地を広げるのではなく限られた面積での収量の増加に日本の技術力が期待されているとのことでした。


↑「ふぁ~ちょっと難しかったなぁ…」とでも言ってそうな一枚

私たちにできること、、、何があるかなと思いましたよね。でもいろいろとあります。それは、フードロスを減らすこと(無駄な食品消費を減らす)、環境負荷が少ない地産地消の作物を選択するなど様々あります。一人ひとりがなんでもいいのです、できることからできる範囲で行動していくことが今一番大切なのです。ものを買うときにそれはどこから来ているのか、どのように作られた製品なのか見てみるだけでも変わります。そのヒントにいろんな食品表示やマークもあります。
⇩レインフォレストアライアンス認証マーク
森林の保護、労働者の人権尊重・生活の向上などの厳しい基準要件を満たす認証農園で生産された作物が使用されている商品を示すマーク。

⇩有機JASマーク
農薬・化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として、自然界の力で生産された食品を示すマーク。

わたしたちが考えて選択し購入することで、環境への負荷も減らしていくことにつながります。それから、単純に電気を使う量を減らす、水を出しっぱなしにしない、ごみの分別をしっかりするなど、なんでもあります。今日、今この瞬間から何か一つ始めてみませんか?

 

最後に、長くなりましたが、「ロンと小春とそれから私」を読んでくださり本当にありがとうございました。このお話(ブログの内容)を誰かに伝えるということだけでもきっと明日の地球のためになるはず!そう思い最後は難しいお話をさせてもらいました。ぜひ、みなさまも何か行動に移していただければと思っています。そして、またロンと小春にも会いに動物園にいらしてください。私はチョー簡単ではありますが、なるべく近くで生産されたものや旬な食材を買うことを心がけています。このお話を書き始めたのは、私自身も赤ちゃんを授かり、この子が将来この地球で幸せに暮らしていけるのかなと今まで以上に考えたからです。しばらく産休に入らせてもらいますが、またパワーアップして帰ってきたいと思います。そのときまで…☆ ジャガー担当 河野

 

参考)
・WWF HP
・NHK クローズアップ現代 現地ルポ・アマゾン消失〝地球の裏側″日本にも影響が
・環境省 HP

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