昨日、非常に残念なことに、生まれたばかりのキリンの赤ちゃんが死亡いたしました。
出産から全力を尽くしてサポートをしてきたつもりでしたので、私たちとしても突然のことに驚きを隠すことができず、茫然としております。
しかしながら、みなさんにこの子のことをちゃんとご報告しなければならないと思っております。読みにくい文章となってしまうかもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです。
今回の出産は、ハルカスの様子から出産予定日よりも早めになることを予想し、前もって準備を進めておりました。そして、私たちが考えていた予定日よりも約2週間早く赤ちゃんは生まれてきました。
非常に安産で、ハルカスの陰部から子どもの脚が見えてから、1時間足らずで生まれてきましたが、ここからが心配の連続でした。
子どもがお母さんのお乳を吸いに行く様子は、立ち上がってから1時間程度で見られました。しかし、いまいち飲めていると確証が持てません。口はもぐもぐしていて、喉もゴクッと動いているので少量は飲めているのでしょうけれど、観察から初乳の量が足りているとは判断できない状況でした。
そこで、子どもの体重測定も兼ねて免疫をつけるため、牛の初乳(粉ミルク)を飲ませようということになり、ハルカスのお手伝いをするべく、私たちでもミルクを少量与え始めました。
この時は、ハルカスのお乳がメイン、私たちのミルクがサポートと考えておりましたが、生まれて3日目から子どもが全くお母さんのお乳を探しにいかなくなってしまいました。ハルカスは飲ませようとしている素振りがありますが、子どもがそれに応えようとしません。そこで、授乳以外の子どものお世話はハルカスに任せ、ミルクは私たちで担当することに決めました。
とは言っても、初めから慣れない哺乳瓶からミルクを上手に飲んでくれることはなく、毎日試行錯誤を繰り返し、たくさんの動物園の方に成功した方法を教えていただいたり、詳しい情報を頂きながら毎日みんなで議論し、その都度方針を決めるということを繰り返し行いました。その甲斐もあってか少しずつ哺乳瓶から飲むミルクの量も増えていたのですが、その間ずっと便の状態が安定せず、下痢と便秘を繰り返しているような状態でしたので、ミルクを少し薄めて水分量を多くしたり、整腸剤をミルクに混ぜるなどの対応を行っていました。
しかし、昨日の午前中に子どもが急に倒れ、獣医師が緊急処置を行いましたが、そのまま息を引き取りました。
その日の朝のミルクも飲んだ後だったので、みんな信じられませんでした。
解剖の結果、飲んだミルクは胃の中に溜まっておりましたが、固まって詰まったなどの様子はありませんでした。
しかし、十二指腸以下の小腸と大腸がかなり炎症を起こしており、おそらく消化吸収の機能が極端に落ちていただろうということがわかり、そのほかにもいくつか栄養が足りていなかったであろう所見が見られました。
つまり、ミルクを飲んではいたけれど、消化管(小腸と大腸)の炎症により腸がうまく働かず、体の中で栄養に変えることも、その後スムーズに排出することもできていなかったのではないか?と考えております。
なぜ、消化管が炎症を起こしてしまったのか?ということについては、解剖しただけではわからないため、臓器を病理検査に提出し結果を待っているところです。
先天的な理由なのか、後天的な理由なのかはわかりませんが、ただただ残念で悔しい思いでいっぱいです。
病理検査で何か新しいことがわかるかどうかは、検査結果が返ってくるまでわかりませんが、その結果をもとに、私たちは何をすればよかったのか?子どもを助けるにはどんな方法があったのか?そして、これからどうするか?を話し合っていきたいと考えております。
以下、担当者からのコメントです。
「今回こそは、ハルカスに寂しい思いをさせたくない、との気持ちで全力を尽くしてまいりましたが、このような結果になり残念です。必ず今後につなげていきます。」
出産のご報告をしてから、たくさんの方に応援していただき、本当にありがとうございました。
同時にこんなにたくさんの方に応援していただきながら、このような結果になってしまったこと、本当に申し訳ありません。
そしてこうなってしまったことは、子どもにもハルカスや幸弥にも申し訳ない気持ちでいっぱいです。
とてもマイペースな子でした。
子どもの冥福を祈ると共に、今回の経験をハルカスや幸弥をはじめ、全ての動物たちへ少しでも還元できるように精一杯努めてまいります。
多くの方にご心配をいただいておりますが、幸い、ハルカスはとても落ち着いております。とはいえ、まだ産後の不安定な状態ですので、しっかりとケアに努めたいと考えております。