今回は後編です
さて、前編は冬までのお話しでしたので後編は春から。
無邪気にボールを追いかけるマリー
見た目や、動き、食欲は若々しいですが、15歳と少しずつ体に衰えも。
そこで、年齢にあったケアをするために今年の春からトレーニングを始め以下のことに取り組みました。
- ①体重測定
- ②採血
- ①体重測定
太ったのか痩せたのか数値でも判断できるように体重を測ることにしました。
しかし、皆さんが思っているよりも動物は簡単に体重を測ることはできません。
理由は
・動物は警戒心が強く安易に体重計のような見知らぬ物には乗らない
・体重計などを壊す可能性もある
・体重計の上で動き正確な数値がわからない などなど…
全部説明するとあまりに長文になってしまうので割愛しますが、体重計が壊されないようにカバーを作成した上で、トレーニングを行い安全に且つマリーさんにも負担にならないように体重測定を実施することができました。
現在ではこの通り。マリーの下に見える緑色の物が体重計で板の下に忍ばせています。
測定は今年の6月から実施しており、今月(10月)は41kgでした。マリーは右前肢を定期的に庇うことがあるので、足への負担を軽減させるために餌量を調整し少し軽めの体重で様子を見ております。
- ②採血
ネコ科は腎臓が悪くなることが非常に多く、採血などを行い健康管理することが望ましいと言われています。そこで、無麻酔で且つマリーに負担をかけないように採血のトレーニングも行いました。今年の3月から試行錯誤を続け、他の動物園の情報も参考にし8月にやっと良い形で採血ができました。これはマリー自身と天王寺動物園の獣医師チームの協力があったおかげです。担当者の私として本当に感謝しています。優秀な同期(獣医の同期&牙のある同期のこと)を持つと助かります。
採血は毎月行い、血中成分の平均値を割り出し今後のケアを考えて行こうと思います。
夏
今年の大阪の夏は暑過ぎました…展示場に設置してあるドライミストを稼働させても暑さはさほど変わらず、マリーは息が上がってしまいます。そのため夏の間は日中、展示場とエアコンの効いた寝室をつうつうにしいつでも涼めるようにしました
エアコンの効いた寝室から暑すぎる外を見るマリー。後頭部も愛おしい
そして、今秋
気温が下がり過ごしやすい季節に。夏に比べてボールや枝で遊ぶ時間が増えています。天気のいい日にはお気に入りのトロ舟に入り日光浴をしている姿もよく見かけます
枝で遊ぶ様子。最近のお気に入りの遊び方は寝転がって下から枝をちょんちょん。
トロ舟に入りこちらを凝視。
こんな感じで、天王寺動物園での1年を過ごしたマリーでした。
私自身、1年間のうちに多くのことを学ばせてもらいました。ありがとうマリー。
今後も牙のある同期ことマリーを大切にしていきたいと思います。
では、おおきに〜
たまに棘のある飼育係 つっちーより