ハイエナ・愛のご隠居ぐらし 【健康診断編】

ブチハイエナ

みなさんこんにちは

少し前にのびのびとご隠居生活を送っているブチハイエナ・愛の暮らしを紹介しましたが、先日、そんな愛を麻酔下で検査しましたので、その時のお話を少しさせていただきます。

前回のご隠居生活についてのブログはこちらをご覧ください。

ご隠居生活を送るハイエナ愛の近況報告

前回のお話でも少し触れていましたが、少し前から目が痛いのか?かゆいのか?しきりに目を擦るような行動があったり、以前に比べて食べ物を吐き戻すことが多かったりと、いくつか体に不調が見られ始めたことから、愛には投薬による治療を続けていました。

しかし、用意した薬が愛の体に合わず、副作用が出てしまったり、効果が見えにくかったりと、思ったほど治療は上手くは進みませんでした。

愛自身は、とっても協力的で、眼もかなり近くで観察させてくれるんですが、より的確な治療をするためには、動かない状態で、もっと詳細な観察や検査が必要でした。

つまり麻酔をかけて検査をすることが必要と言えます。

しかしながら、高齢で代謝が落ちているであろう愛の体には負担が大きい可能性もあり、現場の担当グループや獣医師など、みんなで愛にとってのメリットとデメリットを考えました。

最終的には、今後もっと体調が悪くなったときには麻酔がより難しくなること。また、その時に万が一麻酔ができないという結論が出た場合、原因が分からず愛が長く苦しむことになってしまうかもしれない。だからこそ、今現在、元気でリスクが比較的少ないうちに麻酔下検査をしようという判断になりました。

愛の今後の生活を長い目で見た結果、この結論になりました。

もちろん、これが決まったからといって、デメリットがなくなるわけではありません。

そこで、このデメリットが最小限に抑えられるように、急ピッチで準備を備えていきました。

事前準備
前日に体重を測り、それに合わせて麻酔の量を正確に調製する。
直近の体調をよく観察することで、麻酔下での検査に耐えうるかの判断材料を収集する。
麻酔をかけた後、スムーズに愛を病院に運ぶために、動線や移動方法を確認。
当日
処置時間(=麻酔の時間)を最短にするべく、同時にできる検査を分担して取り掛かる。
処置後、速やかに寝室に戻り、愛に麻酔の拮抗薬(目覚めさせる薬)を注射。

 

当日は、準備のおかげもあり、処置は非常にスムーズに進みましたが、それでも心配は尽きません。

高齢なので目覚めるのにどれくらい時間がかかるかも分からないし、麻酔薬が完全に抜けるまで何日もかかる可能性もあるため、不安な気持ちで愛を見守ります。

 

そんな不安をよそに、拮抗薬を注射後しばらくして、スッと起き上がり…そして走り始める愛さん・・・

よかった~!!!

あまりの覚醒(麻酔から目覚めること)の早さにその場にいた全員が驚きつつ、検査は無事に終了して胸を撫でおろしました

その後愛の体調は、いたって健康ですので、今回の麻酔下検査は大成功だったと言えると思います。

検査では、眼に通常の観察では見えなかった細かい傷があったことや、血液検査の結果も年齢の割には悪くなかったことなどが分かりました。

今回分かったことを参考に、これからも愛の穏やかな暮らしをサポートしていきたいです。

 

このように健康診断を行う場合、麻酔下での検査を簡単に判断することはありません。ですが、この検査により、普段の体調チェックでは知ることのできない多大な情報を知ることができ、動物たちに対してたくさんの治療等の選択肢を増やすことができるのは確かです。できるだけ万全の体制で実施することが望ましいですが、緊急時にはそうも言っていられないこともあります。

そのために、普段から動物の状態や行動の観察、ハズバンダリートレーニングなどにより、少しでもこのような緊急事態にも備えていくことを目指して、常に努力しております。

現在天王寺動物園は、愛をはじめ多数の高齢動物がおりますので、彼ら・彼女らが1日でも長く健康に暮らしてくれるように、今後も精一杯取り組んでいきたいと思います。

応援よろしくお願いいたします。

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