今回はチンパンジーのプテリのお話です。
4月からチンパンジー担当をしているのでまだまだチンパンジーの奥深さにはたどり着いていませんが、当園のチンパンジーの観察や飼育をして見えてきた個性について順次お話したいと思います。
まずは飼育員に対してもお利口さんで、とても賢い最高齢のプテリ(♀)のお話です。
(現在41歳)
⇩左:ミナミ、右:プテリ
プテリはリッキー(♂)、ミナミ(♀)、レモン(♀)と一緒に暮らしていますが、群れの中では弱い立場にあります。いつもおやつの時間にはミナミがプテリがおやつを食べることを許さないのです。時にはプテリが私も食べたいねん!(勝手に関西弁にしてます)と意思表示をして喧嘩にもなります。
しかし、やはりミナミには勝てずおやつをゲットできません。そこで、プテリにもおやつが行き届くように工夫をしています。
おやつが枝葉の場合は、
作戦その1
枝葉を渡す時にミナミが余すくらいの量を渡す。
作戦その2
プテリと仲良しのレモンに沢山枝葉を渡してプテリのそばに運んでもらう。
作戦その3
ミナミに隠れてこっそりと寝室で受け取りたい、というような態度をプテリ自身が示したら寝室で枝葉を渡す。
他のオヤツも同様で、寝室でもらうわ!とプテリが行動で示してくれたら寝室で渡しています。最近はシュートでこっそりと食べています。(来園者の方々には見えない場所ですみません)
⇩シュートでおやつを食べるプテリ
チンパンジーたちの力関係に介入することはできませんが、色々な方法を考えてプテリが楽しみのおやつを食べることができる環境を作っています。
また、ミナミはあまり好きじゃないけど、プテリは食べるおやつシリーズを用意しています。その時はプテリが寝室やシュートに隠れずに食べることができます。
⇩隣でおやつを食べる様子(左:ミナミ、右:プテリ)
こんな話をするとミナミが悪いように思われるかもしれませんが、チンパンジーの暮らしにはどうしても力関係があります。仲が悪いのかというと、時には一緒にくつろいでいたりします。
⇩左:ミナミ、右:プテリ
他にも、ミナミがプテリに対して毛繕いをしている姿も見かけます。微笑ましいシーンです
⇩毛繕いをする様子(左:プテリ、右:ミナミ)
あ、タイトルにあるプテリのひみつについてですが、
実は…、
いつも寝室に帰る時はミナミが帰った後にプテリが帰っていますが、プテリは帰り途中でミナミの寝室の扉を叩いたり、枝を寝室に突っ込んだりしているんです(文句言ってる…?)
ひとしきり行動してから自分の寝室に帰るのが、誰にも知られていないプテリの帰宅ルーティンです。
⇩扉の隙間に枝をさすプテリ
今回はそんなプテリのお話でした。