キリンの蹄のケア

みなさん、こんにちは!草食(キリン)担当です!

いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます
今回はタイトルにもある通り、キリンの蹄(ひづめ)の話をさせていただきます。

 

天王寺動物園のキリンはオスの幸弥が13歳、メスのハルカスは12歳になりますが、そろそろ人生の折り返しへと向かう年齢です。
キリンの場合は、高齢になると肢のトラブルも多くなり、特に蹄のケアが大切になってきます。

手前がオスの幸弥、奥はメスのハルカスです。

 

蹄は、歩行のサポートや血液を循環させるポンプのような機能など重要な役割があります。
また、僕たち人間の爪と同じように伸び続けます。

ウシやウマのような家畜は、肢を機械で固定し、削蹄師と呼ばれる蹄ケアのプロが削るのですが…
体の大きなキリンを固定できるような機械はありません!
キリンの蹄を削るプロもいないので、どの動物園も会議や勉強会などで情報を共有しながら進めています。
ちなみに、全国の動物園のキリン担当が集う「キリン研究会」という会が毎年開催されるのですが、今回のテーマは、まさに「蹄や肢の管理について」でした。
「しくじり先生」ではないですが、各園館の失敗談も交えた成功例の話を聞けるのでとても勉強になります

 

 

キリンの長い肢と蹄

 

このような動物たちに対して、健康管理に必要な行動をとれるようにするためのトレーニングを多くの動物園や水族館で行われています。
最近では、天王寺動物園でもホッキョクグマやアシカ、クロサイなど多くの動物と担当者が取り組んでいます。

ハズバンダリートレーニングとは、動物の健康を保つために必要なケア(体重測定、採血、削蹄など)を、動物に負担を掛けない方法で行うためのトレーニングです。

 

当園のキリンは、広いグラウンドで混合展示を行っているため、全国の動物園中でも運動量は多い方だと思います。また、グラウンドには4mm~6mmの砕石を敷いているため蹄底が自然に削れ、斜面も活用するので、それほど悪い蹄の状態ではありません。
ただ、油断は禁物です!いざ、肢のトラブルが発生してからでは手遅れになりかねませんので、日頃からケアできるよう日々のトレーニングが重要になってきます。

グランドに敷いている砕石です。

 

さて本題の削蹄ですが、名前の通り”蹄を削る”作業ですので人が直接、蹄に触ることが必要です。
屋内展示場のワイヤーフェンス越しに、係員に対して正面、右向き、左向きと体勢をとってもらい、蹄に触らせてもらえるよう伝えていきます。

係員が蹄に触ることができるようになったら、次は削蹄台に蹄を乗せてもらえるように誘導していきました。

現在、後肢を中心に、前肢も削蹄台に乗せてくれるようになり、削蹄用のヤスリなどで少しづつ蹄を削ることができてきました

削蹄で使っている道具です。(上は電動ヤスリ、下は削蹄用ヤスリ)

 

 

この削蹄台は、既にキリンの削蹄に取り組んでいる国内外の動物園を参考に作製しました🔨

お手製の削蹄台。 この台の上に蹄をのせてもらっています。

 

 

 

まだまだ、トレーニングが必要ですが、夕方、室内展示場で練習していますので、ぜひ、ご覧いただきたいところです。

↑最近のトレーニングの様子です画像をクリックしてご覧ください!
※前半、係で隠れて見えにくいところもありますが、動画の2分頃から削蹄の様子を見ていただけます💡

 

キリンたちが、安全に、そして、快適に長生きしてもらえるよう、担当者一同がんばりますので、これからも、ご支援よろしくお願いします!

 

 

 

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