と体給餌を実施しました

1月22日(水)にハイエナの展示場で「と体給餌※」を実施しました。
※野生で駆除された動物を、動物園の動物のごはんとして活用する取り組み。

と体給餌を行うと…

  • 動物がごはんを食べる時間が伸びる!
  • 駆除された野生動物を活用できる!

という2つのいいことが期待できます。

 

  • 動物がごはんを食べる時間が伸びる!

動物のごはんの時間を伸ばすことは、退屈な時間を減らすことに繋がります。

普段は毛や骨の付いていない牛肉や羽毛を取り除いた鶏などを食べている天王寺動物園の肉食動物たち。今回と体給餌を行ったハイエナは、牛肉、鶏1羽、レバー、鶏むね肉などトータル1kgくらいの量をどのくらいの時間で食べると思いますか?

 

実は、15秒程度で食べきってしまうのです!!!

今回のと体は、毛も骨も蹄もついている状態のシカの前足で、食べきるまでに45分くらいかかっていました。また、毛を剥ぐためにお肉を足で押さえたり、奥歯で骨を噛む姿など、普段の給餌ではみられない様子もたくさん見ることができました。

ここからはと体が写った動画や写真があります。苦手な方はご注意ください。

 

⇩お肉を足で押さえながら食べる様子

  • 駆除された野生動物を活用できる!

どうして野生動物を駆除しちゃうの?と思う人もいるかもしれませんが、1種類の動物が数を増やしすぎてしまうのも、実はあまり良いこととは言えないのです。今回給餌したシカですが、国内の一部の地域では生息数が増えすぎて困っていることもあります。

例えば、増えすぎたことで今までシカたちが住んでいた場所に食べ物が少なくなり、人の畑の野菜を食べに来てしまったり、シカが植物を食い尽くした森の地面の土が滑り落ちやすくなってしまったり…。

こういった被害を少なくしつつ、シカたちとより良く共生していくために、生息数増加を抑える活動の一環として捕獲を行う事があります。捕獲したシカは、人間が食べるジビエ料理やペットフード用のお肉にするなど活用されています。しかし、このように活用できているのはまだまだ一部のシカだけになっているのが現状です。そこで、より多くのシカを活用する手段として動物園でのと体給餌が注目されています。

今回はハイエナ展示場のガラス前にと体をセットして、ハイエナのハナへ給餌を行いました。はじめは普段と違う状況に戸惑ったのか、出てくるまでに時間がかかっていましたが、ゆっくりとガラス前まで上がってきて一度と体をかじってからは夢中で食べていました!(当日お待ちいただいたみなさま、ありがとうございました!)

ハナはお肉を食べ終わってからも、地面に残った匂いを嗅ぎに何度もその場所に立ち寄っていました。

⇩今回あげたシカの足

⇩食べ終わり、骨の破片だけになった様子

⇩展示場になかなか出てこないハナ


(撮影係とバッチリ目があったので、それを警戒したのかもしれません…。撮影係は一旦ハナから見えない位置に移動しました。)

 

ご覧いただいた方からは、「お肉が思ったより大きかった!」「全部綺麗に食べてる!すごい!」「骨まで食べちゃうんだね」などのお声をいただき、いつもと違ったハイエナの様子を見ていただけて私たちにとっても学びのある時間となりました。
普段の生活のなかではなかなか感じにくいかもしれませんが、私たちは野生動物たちと一緒に自然の中に暮らしています。人間だけが暮らしやすい環境ではなく、すべてのいきものが暮らしやすい環境のためにいろいろな場所で様々な取り組みが行われているのです。

大阪でも野生動物との共生は課題となっています。このことを意識してみると、意外と身近なところで野生動物との関わりを感じることができるかもしれません。

今回のと体給餌が身近な自然に目を向けるきっかけになれば嬉しいです。

 

おまけ

シカの毛まで食べたので、うんちにたくさん毛が入っていました!

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