世界サイの日 ☆5日目☆

みなさんこんにちは

ブログのチェックありがとうございます

 

今日は昨日の続きからのお話をしたいと思います。
ここまでのブログは以下にまとめていますので、よければそちらからご覧ください。

☆1日目☆ 世界サイの日と天王寺動物園のサイについて

☆2日目☆ 天王寺動物園のサイの繁殖について

☆3日目☆ ライとサミアの現状

☆4日目☆ 世界で暮らす5種類のサイについて

さぁ、昨日の記事でサイがアジアとアフリカに5種類いることは覚えていただけましたでしょうか?

今日と明日で、サイの保全は現在どうなっているの?!というところをお話していきたいと思います。

この話をする前に、とても大切なポイントは、

そもそも、なぜ、サイは保全をしないといけないような状態になってしまったのか?という点です。

動物園に勤め始めて、サイを毎日のように見ていると、サイの丈夫さに本当に驚かされます。
大きな体に分厚い皮膚を持ち、物理的に丈夫であることはもちろん、私では転がすことすら難しいような丸太をヒョイっと持ち上げてしまうようなパワー、そして、ケガの治りの早さなど、サイの丈夫情報を挙げたらキリがありません。
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2日目に紹介した角突き行動は、あの巨体・あのパワーで思いっきりぶつかるため、
よく角の周りが流血騒ぎになっていますが、たいてい一晩で傷はすっかりくっつき、次の日の夕方にはほとんどなかったことに。。。
最初のうちは、見た目の派手さにびっくりもしましたが、その治りの早さには、さすがはサイ!!と感動すら覚えます。

にも関わらず、事実サイは減ってしまいました。
一体何故なのか?!

その大きな原因は密猟のせいであると考えられています。

これまでのブログのコメント欄にもたくさんの方が書いてくださっていましたが、
サイたちは、「サイの角は非常によい薬になる」という、間違った情報が広まり、それを信じる人が多く出てしまったために、とても高価なものとして売買され、密猟が後をたたなくなってしまいました。

サイの角が薬になる これは、大きな間違いであるとすでに証明されています。

サイの角は、ケラチンというたんぱく質でできています。
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ケラチンとは、硫黄を含むアミノ酸・シスチンを含む、18種類のアミノ酸から構成されるたんぱく質の総称です。
アミノ酸の割合によって形は多少違いますが、私たちの身体の毛・爪・皮膚の角質層を主に構成しているのが、このケラチンなんです。

と、いうことは、サイの角を薬にすることは、私たちの毛や爪を薬にするのとまったく同じなんです。
それを知らずに本当に薬になると信じている人がたくさんいました。
そこで、わざわざ、自分の髪の毛や爪と同じものを、たくさんのお金を出して買っていたのです。

買う人がいるということは、売る人が出てくるということです。

密猟を止めるためには、買わないこと・興味を示さないことが最も重要です。

このお話をすると、多くの方からは、自分たちは、別にサイの角をほしいと思わないし買ったことはないから関係ない。と言われてしまうことがあります。

密猟については、サイもほかの動物も同じです。
今でもよくある密猟の4パターンをお話しします。

①体の一部を薬や装飾品にする、剥製をコレクションにするなどの目的で殺されてしまう。


大型の動物はよくこの対象になります。

サイの密猟がまさにこのパターンですが、かつては、トラの骨が薬になると思われていたこともありましたし、
象牙や毛皮などを盗るために犠牲になるゾウや肉食獣などは未だに問題になっています。

本来のターゲットである親をおびき寄せるために、狙いやすい仔どもが先に殺されてしまうということも少なくありません。

薬に関しては、サイの角と同様、事実ではないことも多く、まずは正しい情報を広めること。
そして、装飾品などのコレクションについては、持っていることがステータスにならないような社会を作ること、また、自分自身はとにかく買わない、興味を示さない!ことが必要だと思います。
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②ペットとしてその動物自体が売り物になるために、捕獲されてしまう。

小型の爬虫類や両生類などが今でもたくさんこの対象にされています。

その証拠に、今でも天王寺動物園には、年に数回、密猟→密輸をされているような
爬虫類や両生類が保護されて税関や警察から預かってほしいと持ち込まれています。

昔の話ではありません、今まさに起きていることです。

また、哺乳類で今最も問題になっているのはコツメカワウソです。
カワウソは、その可愛さから、ペットにしたいという声がたくさん上がり、密猟・密輸が今も続いています。

そのほとんどが、ここペット大国日本に運び込まれていると言われています。
同じ日本人としては、この事実は放ってはおけないと感じています。

この場合、密猟の時点で動物が殺されることはあまりありませんが、その後販売目的に密輸をする段階では、無茶な輸送方法により、大半の動物が命を落とします。

ペットを飼うときには、特に珍しい動物を飼う前には、その動物の野生の状態のことも含めて、勉強してから飼うようにしていただけると、嬉しいです。
また、正しい手続きの方法や飼った後のことについても、先に調べていただくことをお願いします。

 

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③現地の住民とのトラブルにより殺処分されてしまう。

 
現地の人が、自分たちの命や家畜、農作物を守るために殺してしまう場合があります。
 
多くの肉食動物や大型のクマ、カバなど危険とされる動物がこの犠牲になることが多いです。
 
私はこの問題が1番解決方法が難しいと思うのですが、例えば、カバであれば、数が減ることによって川の中の水草が大量に繁茂し、洪水を引き起こすなど、別の問題が発生することもあるそうです。
現地の人たちにその動物たちのことを知ってもらうとともに、共存の方法を考えていく必要があります。
 
日本でも、世界中のどこでも、起こり得る問題です。

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④密猟が見つからないようにするため、密猟の対象ではないはずの動物まで殺されてしまうこと。

これも近年大きな問題になっている密猟のひとつです。

ここで主に犠牲になっているのは、死肉を食べる動物たち、いわゆる「お掃除屋さん」たちです。


死肉を食べる鳥たちは、大型動物の死骸を発見すると、多数でその上空を大きく旋回します。

現地のレンジャーたちは、この様子から、密猟に気づくことも多いそうです。

そこで、この鳥たちを減らしたい密猟者たちは、密猟をして殺した死体に大量の毒をかけて捨てていきます。

それを知らずに食べてしまった動物たちがこれらの犠牲になっているそうです。

これを止めるためには、そもそもの密猟を減らすことしか解決策がないと思います。
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と、今日のお話は、サイの日とは、少しずれてしまいましたが、とても伝えたいことだったので、お時間をいただきました。
このブログをご覧いただいているみなさんは、もうご存知のこともたくさんあるかもしれませんが、
サイの密猟の問題も含め、真実を知ることはとても大切な第一歩だと思います。

そしてそれを広めることはもっと重要です。
こういうことを広めるために、世界サイの日ができたはずです。

是非、このブログをご覧になったみなさんが、周りの方に1人でもお話いただければ、少しずつ広がってくことはあると思います。
どうぞ、みなさんのお力をお貸しください。

それと、このブログを読んで初めて知ったことなどがあれば、コメント欄で教えていただけませんか?今後の活動の参考にさせていただきたいと思っています。
すでに知っていたことやこんな情報も知らせた方がよいのでは?などももちろんお待ちしています。
私たち動物園が、こういった事実がたくさん広めるように、これからも努力する必要があると思っています。
是非ご協力お願いいたします。

かなりの長文になってしまいましたが、お付き合いありがとうございました。

さて、次回またサイのお話に戻っていきたいと思います。
続きもお楽しみに☆

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