ニホンイシガメ観察日記 【最終回】

ニホンイシガメ

みなさんこんにちは。本日も当園のスタッフブログをチェックしていただきありがとうございます。

今日もニホンイシガメを観察した、とある記録の続きをお届けしたいと思います。

観察日記①はこちらを、②はこちらを、③はこちらをご覧ください。

5月20日にニホンイシガメが産卵し、6月15日より人工ふ化に切り替えた5個の卵たち。これまで順調に育ってくれました。


 

7月21日 午前9時。朝に確認すると、3番と5番の卵がふ化を始めまていました。

 

小さなおてて、もとい、前肢を出していますね。

午後12時50分。お顔を出していました。こんにちは。

赤ちゃんの口の先端に小さな突起がついているのをお判りいただけますでしょうか。ふ化直後だけに見られる「卵歯」と呼ばれる突起で、子ガメが卵殻を破るのに使用します。


 

7月22日 午前9時。2番と4番(写真右)の卵がふ化を始めました。前日ふ化した子ガメ(5番)は左で水苔に潜り、じっとしています。見えますか?

昨日ふ化した子ガメを観察してみましょう。お腹のおへそのようなでっぱりは、卵の中で卵黄とつながって栄養を吸収していた部分です。専門用語でヨークサックと呼び、この部分を吸収してお腹が平らになった頃が、穴の中から地上に出てくるタイミングなのです。


 

7月23日 午前9時最後に残った1番の卵(写真左)がふ化しました。これで5個全てが無事にふ化しました。みんなおめでとう。

今回の人工ふ化の目的は、ふ化温度による性の決定を検証することです。性判別ができるのはもうしばらく先のことになるでしょう。また今後は頭数を管理するためにも繁殖計画を立てる必要がありますが…。

でも…。

研究も調査も計画も大切だけど…

とりあえずは、やっと出会えた子ガメの存在が、ただ嬉しいです。そして、ただ可愛いです。まずは、目の前の赤ちゃんの誕生を純粋に喜びたいと思います。

手のひらに乗る、小さな小さな子ガメが持つ大きな力。ささやかな感動を通して大切なことを伝える役を担ってくれると思います。

今回をもちましてイシガメ観察日記はいったん終了します。読んでくださったみなさま、ありがとうございました。

しかし、これで終わりではありません。天王寺動物園ではこれからもニホンイシガメの保全と啓発にも様々な形で取り組んでいきます。これからも園内で、あるいはこのブログ等でも当園のニホンイシガメたちが皆さまとお会いする機会があるでしょう。

当園では世界各地で国際的な保全対象となる希少動物の保全や研究にも取り組む一方で、すぐ隣で人知れず危機を迎えている身近な友だちのような日本産動物も大切にしていきたいと思います。


ふ化したニホンイシガメたちは展示場所が決まっていないため、現在は正式な展示をしていません。

また何らかの形で、皆さまに園内でお会いできればと思います。

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