今年もハートをプレゼント&お知らせ

みなさんこんにちは カリフォルニアアシカ担当です。
今回は2月14日にゲリラで実施したバレンタインイベントをご紹介します。
(昨年の様子はコチラから)

私たちはカリフォルニアアシカだけでなく、他にも様々な動物を班ごとに飼育しています。あと15分でアシカのごはんタイムだ!と思いながら調理場に行くと、冷凍庫に大きなハートの氷がありました。

ハート型に凍らせたアジ(以下、ハートアジ)を作った職員含め、その日出勤していたアシカ担当全員がバレンタインデーのことを忘れており、「お、恒例のやらなぁ」と一気に私たちのテンションが上がります。なぜなら、私たちにとっても動物とお客様に向けて小さなイベントを実施することが楽しいからです。

超特急かつ慎重にハートアジをアシカ池に運びこみます。

いつも通りトレーニングと給餌を済ませた後、型枠からハートアジが割れないように取り出します。

ハートアジ作成者とパシャリ

昨年はツガルへハートアジをプレゼントしましたので、今年はみんなにプレゼントします。柵にあたって割れないように気を付けてアシカ池に投げ込みます。

ハートアジに気が付いたお客様が続々と集まって下さり、多くの人の注目を集める中、アシカ達は残念ながらなかなかハートアジに気が付きません。
担当者みんなで「チョコ!」「チョビ!」「ユイ!」「ツガル!」と、水面に浮くハートアジに近づいたアシカの名前を叫びます。

今年は私たちの愛が届かないかもしれないと寂しさに包まれかけたその時、ツガル(1歳)が気付いてくれました。ツガルはまだまだ子どもなので、色々な探索や遊びをします。何か変なものが浮いてるぞ、と一番に興味を持ってくれました。
ツガルが猛スピードでハートアジに向かう様子を察知した他の個体も、急いでハートアジに向かいます。最後にはみんなでハートアジの奪い合いが始まりました。
奪い合いの際、一番体の小さなツガルは不利になると思いきや、頭を使ってアジを獲得する行動を見ることができました。他の大人アシカがハートアジをゆすったり噛みついたりしている間、水中に沈んだアジを一瞬で奪って遠くまでもっていき食べていたのです。ツガルに限らず、それぞれのアシカは、自分なりにアジを獲得する方法を考え頭の体操をしています。

アシカ達は我先にとアジをパクパク食べ、まるでおいしそうに食べているように見えます。ヒトでは、例えば日本にはアジをフライや焼き魚として食べる習慣があり、おいしいと認識する人が多いと考えられます。

さてアシカは味覚でアジをおいしいと思っているのでしょうか?うまみ(Umami taste)を感じることが出来るかどうかという視点で見てみます。すると、Tas1r1(うまみ受容体)のDNA配列※1を解析した結果、アシカやアザラシでは突然変異でTas1r1のDNA配列内に終止コドン(対応するアミノ酸を持たず、タンパク質の合成を停止させる役割を持つもの)が挿入されていることが分かりました(SatoとWolsan, 2012)。つまり、アシカやアザラシではうまみを感じるための器官が発現せず、アジの味を感じていない可能性があります。Tas1r1のDAN配列の突然変異の理由としてSatoとWolsan(2012)はアシカやアザラシが咀嚼することなく丸飲みするためと考えています。

ただし、味覚でおいしいと感じていなくても、触感や丸飲みすること自体を通しておいしい食事と思っているのかもしれません。

あっという間にハートアジは小さくなっていきます。無事に食べ終わるのを見届け、バレンタインイベントは閉幕しました。

この春、天王寺動物園には新ペンギン・アシカ舎がオープンします。戦前からある現在のアシカ池でアシカが暮らす姿もまもなく見納めです。

アシカたちが無事に移動できますように。

最後に、一足早く新ペンギン・アシカ舎に移動したガルーガは元気にしていますよ。

ガルーガの移動の様子はコチラからご覧いただけます。

※1 Tas1r1のDNA配列・・・Alignment of a DNA sequence segment from Tas1r1の訳出が困難なためこのように表記しました。
引用文献
Sato J. Jun and Wolsan Mieczyslaw. (2012) . Loss or major reduction of umami taste sensation in pinnipeds. Naturwissenschaften, 99, 655-659.

~~お知らせ~~

3月6日(休園日)にアシカたちの移動を試みることになりました。
無事に移動が完了した場合、3月7日(火)から新ペンギン・アシカ舎のオープンまでカリフォルニアアシカをご覧いただけなくなります。

当日は、トレーニングでアシカたちに移動用の箱に入ってもらう予定です。
動物の体調やトレーニングの状況によって、移動を延期する可能性もあります。
その場合はホームページやSNSでもお知らせいたします。

また、フンボルトペンギンも順次移動を行います。
こちらも動物の体調等により日時は変動しますが、3月中には全羽が新ペンギン・アシカ舎へ移動する見込みです。

急なお知らせとなり、申し訳ありません。園内各所の工事に加え、見ることができない動物が増え、皆様にはご不便をおかけしますが、ご理解ご協力の程よろしくお願いいたします。


↑移動用の箱に入ろうとするアシカ

 

 

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